2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23689068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辛島 裕士 九州大学, 大学病院, 講師 (80380434)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | TRPチャネル / 鎮痛薬 / パッチクランプ |
Research Abstract |
本研究では、慢性疼痛や癌性疼痛の治療補助に頻用されるアセトアミノフェン、抗てんかん薬(ガバペンチン、クロナゼパム)、プレガバリンのTRPチャネルに対する作用を主にパッチクランプ法、さらに細胞内カルシウム測定法を用いた生理学的手法を用いた実験を行い、その作用機序の解明を目的としている。 まず細胞内カルシウム測定実験で、TRPA1を一過性発現させたCHO細胞において、アセトアミノフェンおよびその代謝産物の投与により細胞内カルシウムの上昇が観察された。そこで次に、TRPA1を一過性発現させたCHO細胞およびHEK細胞を用いてパッチクランプ法での測定を行った。パッチクランプ法においてもアセトアミノフェンおよびその代謝産物はTRPA1のチャネル活性を引き起こし、この反応には細胞内外のカルシウムの存在が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。しかし、アセトアミノフェンのTRPA1に対する作用に関する報告が他施設よりでたこと、また現時点では報告論文以上の結果が望めないことから、アセトアミノフェンのTRPA1に対する作用機序の解明はここで中止した。 次に細胞内カルシウム測定実験において、アセトアミノフェンの代謝産物の一部がTRPV1の細胞内カルシウムの上昇を引き起こすことを明らかにした。現在、TRPV1を一過性発現させたHEK細胞においてパッチクランプ法を用いて作用機序の解明を目指しているところである。 またアセトアミノフェン以外の薬剤である抗てんかん薬(ガバペンチン、クロナゼパム)、プレガバリンのTRPチャネルに対する作用に関しては、細胞内カルシウム測定器を用いた系において一部のTRPチャネルへの反応が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記「研究実績の概要」に記載したとおり、アセトアミノフェンおよびその代謝産物のTRPA1への作用機序のパッチクランプ法を用いた作用機序の解明を進めたが、他施設より報告が出されたため、このテーマに関しの研究は中止とし、方向転換する必要があった。 次にターゲットとしたのは同じ痛みに関係する受容体として報告されているTRPV1である。まず細胞内カルシウム測定を用いてアセトアミノフェンとその代謝産物のTRPV1に対する作用のスクリーニングを行った。その結果、アセトアミノフェンの代謝産物の一部がTRPV1に作用することが判明した。そこで現在、この物質のTRPV1に対する作用をパッチクランプ法を用いて作用機序の解明を行っているところである。 またアセトアミノフェン以外の薬剤である抗てんかん薬(ガバペンチン、クロナゼパム)、プレガバリンのTRPチャネルに対する作用に関しては細胞内カルシウム測定実験は行ったが、パッチクランプ法による測定はまだ行っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
アセトアミノフェンの代謝産物のTRPV1に対する作用の機序解明を、TRPV1を一過性に発現させたHEK細胞を用いてパッチクランプ法を用いた電気生理学的手法を用いて行う。 また細胞内カルシウム測定実験で反応の見られた抗てんかん薬(ガバペンチン、クロナゼパム)及びプレガバリンのTRP チャネルに対する作用機序の検討も同様に行う。 特に細胞内外カルシウム濃度およびpHを変化させた環境下で、チャネル開閉機構がどのように変化するのかの検討を行う予定である。
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