2011 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン構造様式に着目した難聴の分子メカニズム解明
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23689069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北尻 真一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00532970)
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Keywords | 耳科学 / アクチン / 聴覚 / 不動毛 / 難聴 |
Research Abstract |
Trio Binding Protein (TRIOBP)はアクチン構造を制御する分子で、その変異はヒトおよびマウスで難聴を引き起こす。TRIOBPには複数のアイソフォームが存在するが、それらのうちTRIOBP-4(以下T4)がアクチンを束化することで内耳不動毛の根を形成することを我々は示した。しかしアクチンが正常に機能するためには束化のみならず、重合や網目構造、架橋といった様々な制御が必要である。TRIOBPには構造の全く異なる複数のアイソフォームが存在し、各アイソフォームはそれぞれが独自のアクチン制御機能も持つ可能性が示唆されている。本研究ではTRIOBPのドメイン構造、各アイソフォーム(-1,-4,-5)の機能および、これらTRIOBPのアクチン束化機構を解明し、難聴治療およびアクチン細胞骨格の関与する生命現象の理解につなげることを目的としている。 これまでにT4の部位欠損変異体を用いてそのアクチン束化機構の詳細な解析を行い、T4に2つある特徴的な反復配列(R1ならびにR2)がそれぞれアクチン束化能を持っていることを見いだした。 また、TRIOBP-1,-4,-5(以下T1,T4,T5)の各アイソフォームの部位欠損型変異体を作製、細胞内に発現させ、アクチン細胞骨格との共局在および細胞形態への影響を解析し、各アイソフォームのアクチン結合部位の特定と細胞内での機能解析を行った。この他、蛍光ゲル濾過を用いたタンパク精製法によるTRIOBPの精製条件検定を行い、その解析からT1,T5を可溶化する条件を見いだした。また、有毛細胞を含む内耳器官を培養し、遺伝子銃を用いてこれに各種外来遺伝子を再現よく導入する実験系を構築した。これらに加えてin vivoの解析のためにT1およびT5のアイソフォーム特異的なKOマウスの作製を進めており、今年度中に解析に進む見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していたように、ノックアウトマウス作製に関しては、予定より進捗にやや遅れがあるものの、TRIOBP分子の生化学的・細胞生物学解析は順調に進んでおり、アクチン束化活性の解析に関しては、現在論文を投稿中である。また、TRIOBP分子の複合体を形成した状態での精製条件を確立し、分子構造解析に向けて大きく前進している。以上から概ね順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
各ノックアウトマウスの作製および解析を継続する。アデノベクターを用いた解析は、外注で作製・済みだったベクターがうまく働かなかったため、遺伝子銃を用いての発現ベクター導入に切り替えレスキュー実験を行う。培養細胞や内耳器官培養への遺伝子導入や精製タンパク質を用いた解析は、23年度に得られたデータを元に解析を進め、T4に引き続き、T1,T5に関してもドメイン構造と機能の詳細な解析をしていく。タンパク質精製、結晶化を伴う結晶構造解析は次年度への持ち越しも予想されるが、精力的に進めていく。既に作製済みのT1/5KOマウスに関しては、胎生初期の表現形の解析を含め行う。
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Research Products
(4 results)