2012 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン構造様式に着目した難聴の分子メカニズム解明
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23689069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北尻 真一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00532970)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 耳科学 / アクチン / 聴覚 / 不動毛 / 難聴 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
Trio Binding Protein (TRIOBP)は新規アクチン束化分子で、我々は、その変異がヒトおよびマウスで難聴を引き起こすことを明らかにした。しかし、アクチン線維からなる内耳不動毛が正常に機能するためには束化に加え、重合や網目構造、架橋といった様々な制御が必要であり、その詳細な分子メカニズムはいまだ不明である。本研究ではTRIOBPのドメイン構造、各アイソフォーム(-1, -4, -5) の機能および、これらTRIOBPのアクチン束化機構を解明し、難聴治療およびアクチン細胞骨格の関与する生命現象の理解につなげることを目的としている。 これまでにTRIOBP-4に関して、部位欠損変異体を用いてアクチン束化機構の詳細な解析を行い、TRIOBP-4の2つの特徴的な反復配列(R1ならびにR2)がそれぞれアクチン束化能を持ち、またそれぞれが異なる様式でアクチンと結合することを明らかにした。また、TRIOBP-1,-4,-5 (以下 T1, T4, T5) の各アイソフォームについて、蛍光ゲル濾過を用いたタンパク精製条件の検討、および、蛍光タンパク融合型、部位欠損型変異体の培養細胞株への導入による、アクチン細胞骨格との相互作用および細胞形態への影響を解析した結果、各アイソフォームがホモおよびヘテロの多量体を形成することを示唆するデータが得られた。また、in vivoでの解析のためにT1およびT5のアイソフォーム特異的なKOマウスの作製し、解析を進めている。さらに、根を可視化する目的で、GFP融合型TRIOBPを発現するトランスジェニックマウスも作製した。現在、これらのマウスを用いて、不動毛変性を防ぐ化合物のスクリーニングや不動毛変性過程の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウス作製に関して、予定より進捗にやや遅れがあったが年度前半には個体が得られ解析を進める予定である。また、TRIOBP分子の生化学的・細胞生物学解析は新たな知見を得ながら順調に進んでおり、TRIOBP-4のアクチン束化活性の解析に関して、論文投稿中である。さらに、TRIOBP分子構造の解析に関して、複合体を形成した状態での精製条件の確立、その状態での精製を進めており、分子構造解析に向けても大きく前進している。以上から概ね順調に研究は進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
TRIOBPによるアクチン線維束化の分子メカニズム解明のため、引き続き、各アイソフォームにおいて、タンパク質精製、複合体形成の仕組み、および分子構造解析を進める。培養細胞や内耳器官培養への遺伝子導入や精製タンパク質を用いた解析は、23,24年度に得られたデータを元に解析を進め、その際、器官培養に加え、遺伝子導入や取扱いの容易な、マウス内耳コルチ器由来の細胞株、および不動毛様の構造を形成させることが出来るブタ腎臓上皮由来の細胞株等を用い、有毛細胞における不動毛の根の形成機構、因子を同定、解明を進める。 また、各トランスジェニック・ノックアウトマウスの解析を行い、生体内での機能の解明も進める。そして、難聴に関しては、これらのマウスの内耳器官培養を用いての、不動毛変性を防ぐ化合物のスクリーニングや不動毛変性過程の解析を行う。その際、発現ベクター導入によるレスキュー実験も行う。 さらに、既に作製済みのT1/5KOマウスに関しての胎生初期の表現形の解析を進め、内耳だけではなく、生体内全体でのTRIOBPの機能についても解析を行う。
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Research Products
(1 results)