2011 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ分化による脈絡膜血管新生病の病態制御機構
Project/Area Number |
23689071
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武田 篤信 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (40560313)
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Keywords | IL-27 / マクロファージ / VEGF / CNV |
Research Abstract |
眼組織におけるマクロファージの分化制御機構を明らかにすることで、脈絡膜血管新生病の脈絡膜血管新生から線維瘢痕化に至るメカニズムを解明する。上記目的のために実験的脈絡膜新生血管モデルを用いてマグロファージについて検討している過程で、サイトカインIL-27に着目し検討した。IL-27はIL-6/IL-12サイトカインファミリーに属し、抗原提示細胞(マクロファージ、樹状細胞等)から産生されてTリンパ球の分化に関与する。また、腫瘍において抗新生血管作用を示すことが報告されている。まず、実験的マウス脈絡膜新生血管モデルにおいて野生型マウス(WT)とIL-27欠損マウス(IL-27KO)にそれぞれCNVを誘導するとWTに比しIL-27KOではCNVが促進された。一方、WTにCNVを誘導し、基剤とIL-27をそれぞれ眼内投与しCNV面積を比較すると、IL-27投与群では基剤投与群と比しCNVは有意に抑制されていた。CNVにおいてマクロファージの浸潤が増加し促進的な役割を果たしているが、マクロファージの浸潤数はWTとIL-27KOでは差が無かった。次にCNVに重要な役割を果たしている血管内皮増殖因子(VEGFA)についても検討した。VEGFAの発現はWTよりもIL-27KOでは上昇していた。また、WT及びIL-27KOともIL-27の眼内投与によりVEGFAの発現は有意に抑制され、IL-27KOでもCNVが抑制された。眼内におけるVEGFAの産生源として網膜色素上皮細胞(RPE)またはマクロファージが報告されている。低酸素状態で培養RPEのVEGFA発現が増強することは知られているが、IL-27はこの状熊でのRPEのVEGFAの発現を抑制できなかった。ところが、IL-27は活性化マクロファージのVEGFAの発現を有意に抑制した。以上の結果から、IL-27はCNVにおけるマクロファージのVEGFAの発現を抑制することでCNVを抑制することが示唆された。VEGFAの産生源としてマクロファージの中でもM2マクロファージが重要と考えられているが、IL-27はM2の分化あるいはM2の活性化を抑制する可能性も考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脈絡膜血管新生におけるマクロファージのCNV促進作用に対し、サイトカインIL-27が抑制的に作用することを明らかにした。IL-27のマクロファージ分化における役割についても伸展の余地があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
網膜下線維瘢痕化におけるマクロファージ等の細胞の関与についても新規知見が得られつつあり、下記学会発表を行っており、引き続き研究を進めている。またく網膜下線維瘢痕化についてマクロファージについて検討を進めていく過程で、マクロファージ以外にも網膜色素上皮細胞の関与が重要であり、-これに関して新規知見が得られている。網膜色素上皮細胞に特異的に作用する新規分子機構についても検討を進めていく方針である。
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Research Products
(3 results)