2012 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン分解異常による細胞周期制御の破綻がもたらす癌化機構の解明
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23689074
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
工藤 保誠 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50314753)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞分裂 / ユビキチン分解 / 癌 / APC/C / Geminin / Aurora-A |
Research Abstract |
本研究では、細胞分裂制御のキー分子として機能しているタンパクの多くが、APC/Cユビキチンリガーゼ複合体によりユビキチン分解されることに着目し、APC/Cによる基質タンパクの分解機構の詳細を明らかにし、APC/Cによる基質タンパクの分解異常がもたらす細胞周期制御の破綻とその癌化への関与について詳細に検討する。昨年度までに、APC/Cの基質タンパクのひとつであるGemininがAurora-AによるThr25のリン酸化によって、ユビキチン分解制御を受けていることを明らかにした。さらに、Gemininが分裂期でリン酸化されずに分解されてしまうと、DNA複製に必要な複製前複合体(Pre-RC)の形成がおこらず、分裂後のS期でおこるDNA複製がおこらないことも明らかにした。本年度は、細胞分裂期でリン酸化により安定化したGemininが、pre-RCの形成に重要なCdt1をSCFSkp2によるユビキチン分解からプロテクトすることを見いだした。さらに、細胞分裂期からG1期にかけて、Gemininが脱リン酸化され、ユビキチン分解されると、安定化していたCdt1がDNA上に移動し、Pre-RCが形成されることを明らかにした。この研究成果を論文としてまとめ、Nature Communicationsに掲載されることとなった。また、細胞分裂に重要な因子である染色体パッセンジャータンパク(Survivin/INCENP/Aurora-B/Borealinによる複合体)に着目し、その構成因子であるBorealinのユビキチン分解機構を検討した。Borealinは、APC/Cによりユビキチン分解されることを明らかにし、欠失変異体を用いた解析により、分解ドメインを同定した。来年度は、Borealinの分解機構の詳細とGemininのリン酸化の異常がもたらす癌化への影響を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Gemininのユビキチン分解制御について、詳細な検討ができ、論文としてまとめることができた。来年度は、GemininのThr25のリン酸化異常がもたらす細胞周期調節の異常と癌化との関連についての検討を行う。また、他の基質タンパクであるBorealinの分解制御についても検討中で、現在その詳細について検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題について、今後は、他の基質タンパクであるBorealinの分解制御について詳細に検討するとともに、Gemininも含めたこれら因子の制御異常が癌化に関与するかどうかの検証と実際の癌症例での異常について検討したい。
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Research Products
(7 results)