2012 Fiscal Year Research-status Report
離散凸性を持つ組合せ最適化問題に対する高速なアルゴリズムの設計
Project/Area Number |
23700016
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高澤 兼二郎 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (10583859)
|
Keywords | 組合せ最適化 / 国際情報交換 / グルノーブル |
Research Abstract |
本年度は,3正則グラフにおいてハミルトン閉路に近い2-因子を求めるアルゴリズムについての論文 (下記 [1]) を発表した.本論文で提案したアルゴリズムは以下の通りである. (A) 重み付き3正則2辺連結グラフにおいて,すべての3辺カットと交わる最小重み2-因子を求めるアルゴリズム, (B) 3正則2辺連結グラフにおいて,すべての3辺カットおよび4辺カットと交わる2-因子を求めるアルゴリズム, (C) 3正則3辺連結グラフにおける,最小2辺連結部分グラフの6/5近似アルゴリズム. ハミルトン閉路がすべてのカットと交わる2-因子であることを考えると,(A),(B)のアルゴリズムが見出す2-因子はハミルトン閉路に近い性質を持っている.本論文は,離散凸性の一つであるカット関数の劣モジュラ性等に注目することにより,NP困難であるハミルトン閉路問題の緩和問題に対して多項式時間アルゴリズムを設計したものである.さらに,(B)のアルゴリズムを前処理として,やはりハミルトン閉路問題の緩和問題である最小2辺連結部分グラフ問題に対し,既存の近似率を改良するアルゴリズム(C)を設計した. また,引き続き,離散凸解析の理論をハミルトン閉路問題の緩和問題に適用することにより,既存のアルゴリズムの近似率を改良するアルゴリズムを設計を進めている. [1] S. Boyd, S. Iwata and K. Takazawa, Finding 2-factors closer to TSP tours in cubic graphs, SIAM Journal on Discrete Mathematics, to appear.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度で発表した研究は,離散凸解析といった厳密に解くことの出来る組合せ最適化問題についての理論を,ハミルトン閉路問題というNP困難な問題に適用し,その緩和問題に対して多項式時間の厳密アルゴリズムや近似アルゴリズムを設計したものである.これは,離散凸性に注目して高速なアルゴリズムを設計するという,本研究プロジェクトの目指していたことの一つである.
|
Strategy for Future Research Activity |
ハミルトン閉路問題の様々な緩和問題に対して,離散凸解析等の理論を適用し,多項式時間の厳密アルゴリズムや近似アルゴリズムを設計する.特に,最小オイラーグラフ問題や,辺数が k 以下の閉路を含まない 2-因子を求める問題の k=3 で重み付きの場合および k=4 で重みなしの場合について,重点的に取り扱う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に引き続き次年度はグルノーブルに滞在するため,主にヨーロッパ内の出張の旅費に多くの研究費を使用することを見込み,次年度に若干の使用額を残している.
|
Research Products
(9 results)