2013 Fiscal Year Research-status Report
離散凸性を持つ組合せ最適化問題に対する高速なアルゴリズムの設計
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23700016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高澤 兼二郎 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (10583859)
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Keywords | 組合せ最適化 / アルゴリズム / 離散凸解析 |
Research Abstract |
本年度は,重み付きマッチング森についての論文 (下記 [1]) を発表した.重み付きマッチング森に対しては,多項式時間アルゴリズムや,完全双対整数性を持つ線形計画表現が知られていた (Giles 1982, Schrijver 2000).本研究では,マッチング森の端点集合がデルタマトロイドと呼ばれる離散凸構造を持つことを証明し,さらにその拡張として,重み付きマッチング森が付値デルタマトロイドを導出することを証明した.これは,マッチング森が完全双対整数性の他に,離散凸性という良い性質を持つことを新たに明らかにしたものである. また,Giles のアルゴリズムに対し,この離散凸性に注目することによる単純化および,Gabow (1973) の重み付きマッチングへの手法を用いた高速化を行った. さらに,グラフの辺連結度増大問題,最小2辺連結全域部分グラフ問題,Barnette予想,巡回セールスマン問題の4/3予想などの問題に対し,離散凸解析の理論に基いたアプローチを進めている.これらの問題の多くはNP困難であり,離散凸性に注目した,良い近似率を持つ高速なアルゴリズムの設計を進めている. [1] K. Takazawa: Optimal Matching Forests and Valuated Delta-Matroids. SIAM Journal on Discrete Mathematics, 28 (2014), pp. 445-467.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度発表した成果は,組合せ最適化問題が持つ離散凸構造を新たに明らかにし,それをアルゴリズム設計へ応用したものである.これは,本研究プロジェクトの目標の核心を成す内容である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでには離散凸解析との関連が明らかにされていなかった NP 困難な組合せ最適化問題に対し,離散凸解析の理論を用いた分析を行い,アルゴリズム設計へ役立てる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
近距離への出張が多かったため、出張費の金額が想定よりも小さくなった. 今年度に予定していた離散凸性に注目した近似アルゴリズムの設計における研究の遅延を受け,次年度に再度調整し,研究打合せのための旅費とする. さらに,アルゴリズムの性能を検証,分析し,論文を執筆するために,計算機やその周辺機器を購入する.
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Research Products
(6 results)