2014 Fiscal Year Annual Research Report
離散凸性を持つ組合せ最適化問題に対する高速なアルゴリズムの設計
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23700016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高澤 兼二郎 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (10583859)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | アルゴリズム / 離散凸解析 / マッチング理論 / 巡回セールスマン問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,離散凸性をもつ組合せ最適化問題に対し,その離散凸性を活かしたアルゴリズム設計を与えることを目標としてきた.研究期間全体の主要な成果は以下の通りである. 1. マッチング森の離散凸性を見出し,それを用いたアルゴリズムの単純化,および,高速化を行った. 2. 3正則グラフにおいて数種のハミルトン閉路に近い辺集合を求めるアルゴリズムを設計した.離散凸性の一つであるカット関数の劣モジュラ性などに注目することにより,NP困難であるハミルトン閉路問題の緩和問題に対して多項式時間アルゴリズムを設計したものである. 3. 最終年度においては,2部グラフにおける $C_4$-free 2-マッチングの分解定理を見出した.$C_4$-free 2-マッチングについては,2部グラフにおける最大 $C_4$-free 2-マッチング問題の多項式時間可解性,および,一般グラフにおける離散凸構造が応募者らのこれまでの研究などによって明らかにされていた.また,2部グラフにおける $C_4$-free 2-マッチングの最大最小定理は,Kiraly (1999) と Frank (2003) の二つが知られていた.本研究では,Kiraly (1999) の最大最小定理が分解定理には適していることをつきとめ,二つの標準的な最小化元の存在を示した.さらに,その二つの最小化元を用いて最大 $C_4$-free 2-マッチングの特徴付けを与えた.本定理は,2部グラフにおけるマッチングの Dulmage-Mendelsohn 分解,および,一般グラフにおけるマッチングの Edmonds-Gallai 分解に対応するものである.
1,2 の成果は査読付き国際学術誌にて出版し,また,国内外のシンポジウム,ワークショップ等にて研究発表を行った.3 の成果はプレプリントにて出版し,二つの国内学会にて発表した.
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