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2011 Fiscal Year Research-status Report

有限時間ビザンチン故障に対する耐故障分散アルゴリズムに関する研究

Research Project

Project/Area Number 23700019
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

山内 由紀子  九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (10546518)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords分散システム / 故障耐性 / 自己安定性 / ランダム性 / ビザンチン故障
Research Abstract

本研究は大規模な計算機ネットワークを対象とした,耐故障分散システムの設計手法の確立を目指している.特に,もっとも強力な故障モデルであるビザンチン故障を対象に,故障耐性の一種である自己安定性を実現する新たな手法の確立を目標としている.主要な着眼点は,情報伝搬の速度の抑制により,ビザンチン故障の影響がネットワーク中に拡大することを回避できる可能性である.本年度はまず,情報伝搬の速度と故障からの復旧に要する時間の関係を検討した.情報伝搬を抑制すればビザンチン故障の影響がネットワーク中に拡大することを防げる可能性があるが,一方で,故障からの復旧や本来のシステムの機能(分散計算)にも時間を要することを示した.この結果は国際ワークショップWFDC(国際会議ICNC 2011併催)において成果を報告している.最悪時を想定した理論的な故障モデルであるビザンチン故障に対し,ランダムな環境や故障は,より扱いやすく,対応も容易である可能性がある.本年度は分散システムにおける,環境のランダム性とアルゴリズムのランダム性の関係を検討し,ランダムな環境下においてすら,(乱択)自己安定性を実現することが容易ではないことを示した.つまり,想定しうる最悪のランダム性を持つ環境下では,非常に強力な性質を持つアルゴリズムしか,自己安定性を備えられないことを示した.この結果は国内シンポジウムで既に発表を行い,現在は国際会議投稿中である.この結果より,より広い視点からの故障モデル,分散システムモデルの検討が必要であると考えている.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は自己安定性と故障封じ込めを両立するための理論的な限界の解明が目的であった.その最初の目標であるリーダー選挙問題での情報伝搬と故障封じ込めのトレードオフについては結果を得ているが,理論的な限界はまだ検討の余地がある.一方で,次年度の予定である,確率的な分散システムや分散アルゴリズムを対象とした故障耐性の検討に着手を開始している.現在はそもそも自己安定アルゴリズムが備えるべき性質は何であるのかを検討しているため,通信複雑度等の性能までは議論していないが,この結果が確率的なシステムモデルでの理論的な限界を解明する手掛かりになると考えている.

Strategy for Future Research Activity

今年度の成果では,確率的なふるまいをする環境下での乱択自己安定アルゴリズムが必要とする性質を示した.しかし,収束時間の最適化といったような,効率のよいアルゴリズムの設計手法についてはまだ明らかにできていない.そこで,確率的な環境下で,収束時間や通信複雑度といった性能を最適化する乱択アルゴリズムの設計手法に取り組む予定である.ここで得られる知見をもとに,次年度以降,ビザンチン故障に対する効率のよい自己安定アルゴリズムの設計手法を検討する.一方で,決定的な環境下で決定的なアルゴリズムにより実現できるビザンチン故障耐性の検討を急ぎ進める.特に,現在は特定のネットワーク形状に対しての情報伝搬の抑制についての成果のみしか得られていないので,これを任意のネットワーク形状で適用可能な手法に拡張する.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度の確率的な環境での乱択自己安定の性質についての研究成果の発表,論文化を急ぎ行う.また,他の研究成果も得られ次第,国際会議発表,論文投稿を行う.来年度は大規模な分散システムのシミュレーション実験環境の整備を開始する.シミュレーション実験により,理論的な解析だけでは得られない知見等が期待できる.

  • Research Products

    (3 results)

All 2012 2011

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 確率的スケジューラの下での確率的自己安定2012

    • Author(s)
      山内由紀子
    • Organizer
      2011年度 冬のLAシンポジウム
    • Place of Presentation
      京都大学数理解析研究所
    • Year and Date
      2012年1月31日
  • [Presentation] 悪意あるユーザ存在下での自律復旧型ネットワーク2011

    • Author(s)
      山内由紀子
    • Organizer
      日本オペレーションズ・リサーチ学会九州支部 平成23年度第1回講演・研究会(招待講演)
    • Place of Presentation
      九工大サテライト Kyutechプラザ
    • Year and Date
      2011年7月23日
  • [Presentation] Design and communication complexity of self-stabilizing protocols resilient to Byzantine faults2011

    • Author(s)
      Yukiko Yamauchi
    • Organizer
      Workshop on Frontiers of Distributed Computing(招待講演)
    • Place of Presentation
      Osaka University
    • Year and Date
      2011年12月1日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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