2013 Fiscal Year Annual Research Report
有限時間ビザンチン故障に対する耐故障分散アルゴリズムに関する研究
Project/Area Number |
23700019
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 由紀子 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (10546518)
|
Keywords | 分散システム / ビザンチン故障耐性 / 自己安定 / 合意問題 |
Research Abstract |
大規模な計算機ネットワークでは各計算機の故障やネットワークの状況変化が回避できず,故障耐性,自己適応性を持つ分散システムの設計手法が必要とされている.ビザンチン故障は最悪時の計算機故障を想定した故障モデルであり,ビザンチン故障が存在する分散システムにおいて,計算機間の合意形成(合意問題)や分散システムが自動的に回復する自己安定性を実現するための種々の条件が既に示されている.本研究では,ビザンチン故障を緩和したモデルである有限ビザンチン故障に着目し,故障耐性実現に必要な通信・時間・空間複雑度を解明する事を目標とする. 昨年度より,ネットワーク上でのウィルス感染を模した故障モデルとして,故障計算機が時々刻々と移動する移動ビザンチン故障に着目し,本年度は移動ビザンチン故障が存在する分散システムでの合意問題に取り組んだ.合意形成が可能となるためのビザンチン故障数の上限,ネットワークの連結度などの条件を明らかにし,一般の(移動しない)ビザンチン故障の合意形成条件よりも強力な仮定が必要である事を示した.得られた成果は国際会議OPODIS 2013で既に発表している. 本年度は,自己安定性を持つ分散アルゴリズムの設計についても成果を得ている.計算機故障発生後,迅速に目的とする最小限の条件のみを満たすシステム状況に迅速に復帰するという性質を安全収束性と呼ぶ.これは,目的とするシステム状況を最適化問題の解状況と見なせば,迅速に許容解を構成することにより,分散システムの可用性を保証し,その後,最適解へと収束することと見なせる.既存の安全収束アルゴリズムが同期システムを仮定していることに対し,本研究では,非同期システムで極小連結支配集合を構成する安全収束アルゴリズムを提案した.得られた成果は国際会議SSS 2013で発表している. その他の成果については,学会発表リストに示したとおりである.
|
Research Products
(5 results)