2012 Fiscal Year Annual Research Report
量子化学高精度理論に関する大規模並列計算アルゴリズム開発
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23700037
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
石村 和也 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 特任研究員 (80390681)
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Keywords | 量子化学 / 並列計算 / スーパーコンピュータ / 計算化学 |
Research Abstract |
分子の電子状態やエネルギーを求める量子化学計算方法の中で、炭素材料、生体分子などで重要になる非共有結合相互作用、いわゆる弱い相互作用を取り扱える2次の摂動(MP2)法及び非常に精度の高い露わに相関したMP2(MP2-F12)法のMPI/OpenMPハイブリッド並列エネルギー計算アルゴリズムを開発し、実装した。多次元配列の並びと保存方法、多重ループ構造を工夫し、さらに従来、原子軌道2電子クーロン反発積分と分子軌道係数から求めていた分子軌道2電子積分を、求積法によりグリッド点の分子軌道値と1電子積分から計算することで、計算負荷と中間データの各ノードへの均等な分散、BLASライブラリを用いた効率的な演算、利用ノード数に関わらずほぼ一定の全通信量を実現している。ノード内では、コア間でデータを共有しメモリを有効活用するとともに、多重ループの最外ループを各スレッドに動的に分散させることでOpenMPオーバーヘッドの削減と均等な負荷分散を図った。 MP2法については、京コンピュータ24576ノード(196608CPUコア)で、(C150H30)2の計算が16.6分で終了し、実行性能28%、並列化効率80%を達成した。ほぼ基底関数極限でのC60二量体のMP2-F12エネルギー計算を京コンピュータで行い、最適な二量体の距離とその相互作用エネルギーを求めることができ、ナノサイズ分子の超高精度計算が容易に行えるようになったことを示した。
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