2012 Fiscal Year Annual Research Report
トレース情報とプログラム解析による開発支援環境の研究開発
Project/Area Number |
23700041
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
櫻井 孝平 金沢大学, 電子情報学系, 助教 (80597021)
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Keywords | ソフトウェアテスト / ソフトウェアデバッグ / プログラムトレース / プログラム解析 |
Research Abstract |
本年度は、前年度構築した、トレース情報に基づくデバッガの実装であるTraceglasses上のトレース情報とプログラムの静的解析結果を対応づけるための枠組みを利用して、デバッグ及びテスト支援の開発を行い、実験を行った。 テスト支援として、ソフトウェアテストの達成度を測定する基準の一つであるカバレッジ(プログラムのテスト済み部分の割合)を、トレース情報を使って向上させる手法を提案した。具体的には、まずテストプログラムのトレース情報を取得し、プログラムのテスト済みの部分とそうでない未実行部分を明らかにする。その後テストプログラムの解析により、未実行部分を実行可能にする入力値を算出する。本手法の実験を行い、Javaの基本的なプログラムの60個のテストプログラムに対して、カバレッジを向上させる120個の新しい入力値を生成することを確認した。 この結果、本手法が実際にソフトウェアテストの支援を達成できることを示した。これはソフトウェアの品質を向上するための技術の確立として意義のあるものである。 また、デバッグ支援として、潜在的に利用される可能性のあった値に関する解析を行う手法をTraceglassesの拡張として実装した。またトレース情報に基づくデバッガの実装であるTraceglassesのバックエンド部分の改善を行い、より大きなサイズのプログラムのトレース情報の取得を可能にした。具体的には長い繰返しを含む実際のソフトウェアに基づくベンチマークプログラムの記録と再現を現実的なハードウェア構成で達成した。ユーザー実験を行った結果、実際にTraceglassesを使ったデバッグ手法でデバッグ作業の速度が向上することを確認した。 これらの結果はトレース情報に基づくデバッグの新たな利用の確立として意義があるものである。
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