2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700042
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
野中 誠 東洋大学, 経営学部, 准教授 (30318787)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ソフトウェア品質管理 / ソフトウェア欠陥予測 / レイリーモデル |
Research Abstract |
ソフトウェアの残存欠陥数を予測する手法の1つに,レイリーモデルを適用する方法がある.本研究では,この技法が持つ課題である(1)総欠陥数の予測値が実績値を下回る矛盾が生じること,(2)レイリーモデルの形状パラメータを調整すべき条件が不明確であること,(3)上流工程の欠陥データだけでは総欠陥数の予測精度が悪くなることの課題を挙げ,これらを克服する方法の研究を目的としている. 本年度の成果として,(1)の解消に向けて,条件付き確率の期待値の概念を適用する研究を行った.具体的には,摘出済み欠陥の実測値が得られている状況において,総欠陥数の推定値の期待値を求めるために,条件付き確率の期待値を算出する.この方法を適用することで矛盾が生じることなく総欠陥数を推定できるが,ただし,期待値ではなく中央値を求めた方が適する場合がある.そこで,期待値だけでなく中央値を用いる方法も検討した.以上の方法を実際のソフトウェア開発プロジェクト24件から得られた欠陥データに適用し,総欠陥数の予測精度を評価した.その結果,従来技法に比べて予測誤差のばらつきを減少させることができた. (2)については,今年度はとくに報告すべき進捗は得られなかった.(3)については,上流工程までに得られる他のメトリクスを利用した統計モデルの構築を試みた.ここでは,総欠陥数ではなく工程別の欠陥混入数または除去数を予測する研究を行った.工程別の欠陥混入数については,要求定義工程,アーキテクチャ設計工程,および実装工程を対象に実施し,それぞれ規模以外の要因が欠陥混入に影響しているという結論を得た.また,システムテストで検出される欠陥を説明する統計モデルの研究を実施し,上流工程でのレビュー工数および設計製造工数で説明ができることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項で述べたとおり,本研究では,(1)総欠陥数の予測値が実績値を下回る矛盾が生じること,(2)レイリーモデルの形状パラメータを調整すべき条件が不明確であること,(3)上流工程の欠陥データだけでは総欠陥数の予測精度が悪くなることの課題を挙げ,これらを克服する方法の研究を目的としている. これらのうち,(1)と(3)については,成果で述べたとおり順調に進展している.とくに,(3)については,学会のワークショップおよび全国大会でそれぞれ1件の学会発表を行った.また,もう1件別のテーマについてすでに成果を得ており,産業界を主体とするシンポジウムに論文投稿する予定である. 一方で,(1)と(2)についても,論理的な枠組みについては検討を重ねている.ただし,課題として実プロジェクトのデータ収集が十分に進められていない.ソフトウェア品質分野の研究では常に課題となる「実証評価」の壁を,今後乗り越えるための対策が本研究を進める上で重要な課題となる.
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Strategy for Future Research Activity |
前項で述べたとおり,実証研究のためのデータ収集が課題となっている.これについては,現在も折に触れて研究者の人的ネットワークを利用してデータ提供協力を呼びかけている.この取組みを継続実施していく.それとともに,公的機関が保有するプロジェクトデータの利用可能性についてもあわせて検討を進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画通りに使用する予定である.
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Research Products
(2 results)