2011 Fiscal Year Research-status Report
高速大規模電磁界解析手法の開発および電磁環境影響評価手法への適用
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23700046
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
武居 周 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40598348)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高周波電磁界 / 有限要素法 / バランシング領域分割法 / 階層型領域分割法 / 電磁両立性 / NICT数値人体モデル |
Research Abstract |
本研究課題は,階層型領域分割法基づく大規模電磁界解析手法の高速化検討,および電磁環境問題への適用に関する研究である。本研究において,領域分割法に適した前処理として知られるBalancing Domain Decomposition (BDD)前処理の電磁界問題への適用検討をおこなった。BDDは,解析領域に対して粗いグリッドを用いて領域間のつり合い問題の収束性を向上させるマルチグリッド法の考え方を前処理として適用する方法であり,Numann問題を解いた時の解に粗いグリッドによる修正解を加えるアルゴリズムである。この粗いグリッドを辺要素関数空間が持つ性質を満たすように構成する必要があり,本研究において検討を進めている。また,BDDとは異なるアプローチとして,インターフェース反復計算に対角スケーリング前処理付きConjugate Orthogonal Conjugate Residual (COCR)法を適用し,約2,000万複素数自由度の問題において33%の計算時間が削減され,高速化効果が認められた。 手法の実証として一般生活環境における電磁環境問題の一つである通勤電車内において携帯電話を使用した際の環境影響を評価することを想定し,環境を丸ごとモデル化した。解くべき数値モデルは,複数材料によって構成され複雑形状を有する大規模モデルであり一般に数値解を得ることは困難であるが,本研究において開発した手法によって解析可能であることを示した。 また,人体内部の電磁界暴露計算手法の数値例を示すため,(独)情報通信研究機構(NICT)において公開されている数値人体モデルデータベースに基づき有限要素数値モデルを作成し,本数値モデルを用いた解析を行い,計算に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は,大まかに分けて以下の3ステップによって進める。 1.解析手法の高速化 2.電磁環境解析における数値例の提示,および評価 3.人体内部の電磁界計算の実施,評価 上の2.3.はフレームワーク構築のレベルにおいてほぼ完了している。1.に関しては,BDDの検討をさらに進める必要があるが,一方で対角スケーリング前処理付きCOCR法によって一定の高速化効果が得られることがわかった。 以上によって,本研究課題は,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
階層型領域分割法におけるインターフェース反復計算の高速化手法である,BDD前処理の検討を続ける。これと平行して,解析コードの詳細なチューニングを含む様々な高速化検討を実施することによって,手法の性能向上をはかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の7月に数値解析手法研究に関する世界最大規模の国際会議The 10th WORLD CONGRESS ON COMPUTATIONAL MECHANICS (WCCM 2012) に,本研究課題に関する内容によって,講演を行う予定である。また,本研究課題に関する内容によって2~3報ジャーナル論文として投稿する予定である。また,これらの事前準備として共同研究者との研究打ち合わせのための出張を実施する予定である。これらの費用として,研究費を使用する予定である。
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