2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700048
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
広渕 崇宏 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 研究員 (20462864)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 仮想化 / 仮想計算機 / マイグレーション / 仮想ディスク / 広域ネットワーク / 仮想マシンモニタ / Mobile IPv6 / インターネット |
Research Abstract |
本研究では、複数の仮想計算機を効率的に遠隔移動できる技術を開発することを目標としている。本年度は、第一に、複数の仮想マシンを同時に遠隔移動する際の課題を洗い出すべく、日米間のネットワークを用いて既存移動技術の基礎的な性能評価を行った。高遅延のネットワークにおいては、同時に実行する遠隔移動セッション数を動的に最適化することで、仮想計算機群全体の移動時間を短縮できることがわかった。第二に、仮想計算機を遠隔移動する際に、データ転送量を削減する手法について研究を進めた。仮想計算機の動作を解析した結果、ワークロードを実行中であっても、更新されないメモリページが相当数存在することがわかった。そこで仮想計算機のメモリページをあらかじめキャッシュしておくことで、遠隔移動の際にともなうデータ転送量を削減する機構を開発した。第三に、仮想計算機群が遠隔拠点に移動した際にもネットワーク到達性を透過的に維持できる手法について研究を進めた。Client Mobile IPv6プロトコルのシグナリングメッセージやトンネリングメッセージをゲストOSの代わりにホストOS上で処理する機構を開発した。仮想計算機内部を改変することなく透過的にトンネリングを可能とし、また複数の仮想計算機を遠隔移動する際にも、一つずつ柔軟に遠隔移動することを可能にした。第四に、過去に開発したポストコピー型遠隔移動機構について安定性の強化を行った。翌年度に遠隔ネットワーク環境向けの最適化手法を研究する上での開発基盤を確立した。以上の研究成果を内外の学会で発表し、論文誌等にまとめた。特に、仮想計算機メモリをキャッシュし再利用する機構については、国内シンポジウムにおいて論文賞を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は当初の見込み以上に進展した。仮想マシンを遠隔拠点に移動する実験を行った際に、フロリダ大学ACIS研究室の協力を得ることができたため、当初の計画以上に研究を進展させることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度においては、本年度開発した機構について詳細な評価実験を行うとともに、国内外での発表や論文誌への投稿を行う。また、仮想計算機のメモリページをあらかじめキャッシュしておく機構を発展させて、同様の機構を仮想計算機のディスクブロックに対しても開発する。また複数の遠隔移動セッション間のデータ圧縮やトラフィックの優先度制御について研究を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画になかった点として、仮想マシンを遠隔拠点に移動する実験を行った際に、フロリダ大学ACIS研究室の協力を得ることができた点が挙げられる。そのため、今年度に予定していた基礎的な実験を遂行するにあたっては一部機材の準備が不用になった。翌年度においては仮想計算機数を増やすなど発展的な各種実験を行うべく今年度繰り越した研究費を使用する予定である。
|