2011 Fiscal Year Research-status Report
不揮発記憶素子を用いた細粒度パイプライン演算システムの構築
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23700050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松永 翔雲 東北大学, 省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンター, 研究支援者 (80551564)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / カナダ / 並列処理 / 機能メモリ |
Research Abstract |
不揮発記憶素子を用いた細粒度パイプライン演算システムを構築するための基本ゲートを考案した。具体的には、不揮発記憶機能を有する強誘電体キャパシタを用いて、記憶機能だけでなく、素子そのもののスイッチング特性を活用して論理演算機能を実現することで、基本論理ゲートと不揮発ラッチ機能がコンパクトに一体化された機能ゲートを実現した。このことにより、コンパクトかつ待機電力フリーな細粒度パイプライン演算システムが実現できることを示した。また、Magnetic Tunnel Junction (MTJ)素子を用いた不揮発記憶機能内蔵の全加算器機能ゲートを用いて、細粒度パイプラインシステムへの応用を検討した。応用例として、動画像圧縮などに利用される動きベクトル抽出ハードウェアの基本演算ブロックである Sum of Absolute Difference (SAD)回路を取り上げた。次年度以降の予定にもなっていた、パワーゲーティング機能を細粒度パイプラインアーキテクチャに基づく不揮発SAD回路に組み込む手法についても基礎的検討を行った。これらの成果は、国内研究会(2件)で発表を行い、国際学会(IEEE NEWCAS 2012)に採択された(2012年6月発表予定)。更に、クロック信号を用いた同期式パイプラインシステムだけでなく、クロック信号を用いない非同期式パイプラインシステムへの応用についても海外(カナダ)の大学と共同研究を行った。具体例として、並列検索機能をもつ機能メモリの一種であるCAM(Content Addressable-Memory)を取り上げ、高速かつ低電力なCAMの実現法を提案した。本成果は、非同期式回路・システムに関する著名な国際学会(IEEE ASYNC 2012)に採択された(2012年5月発表予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度以降に予定していた細粒度パイプライン演算システム実現のため、その具体的な応用例を模索している一方で、H23年度に予定していた不揮発記憶素子を用いた機能ゲートの基本構成の検討とその基本仕様を決定したのみに留まり、回路構造の最適化および回路パラメータ最適化までには至っていない。この意味において、「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、今年度の研究活動により培ってきた知見をもとに、不揮発機能ゲートの最適化を行う。具体的には、不揮発機能ゲートの動作速度、電力消費、面積のそれぞれのパフォーマンスを向上させるための最適化を行う。加えて、トランジスタや不揮発記憶素子のバラツキに対しても頑健な回路方式およびそのパラメータ最適化を行う。さらに、不揮発機能ゲートを用いた基本回路ブロックだけでなく、その上位のシステムレベルからのアプローチを試み、システム全体のパフォーマンスを向上させる手法について推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度に、集積回路設計CADツールを実行するための専用ワークステーションを購入済みであり、次年度は滞りなく研究活動ができるものと考えている。その研究成果を発表するため、主に成果発表旅費として研究費を使用したいと考えている。また、更なるなる知見を得るための調査研究旅費としても研究費を使用したいと考えている。
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Research Products
(2 results)