2012 Fiscal Year Research-status Report
不揮発記憶素子を用いた細粒度パイプライン演算システムの構築
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23700050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松永 翔雲 東北大学, 省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンター, 研究支援者 (80551564)
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Keywords | 国際情報交換 / カナダ / 並列処理 / 機能メモリ / 非同期 / パイプライン |
Research Abstract |
不揮発記憶素子を用いた細粒度パイプライン演算システム構築のための機能ゲート最適化を実施した。具体的には、機能ゲートの遅延・電力・面積の低減、並びに素子特性バラツキへの耐性向上のための最適化を行った。 細粒度パイプライン演算システムへの応用例としては、動画像圧縮等に利用される動きベクトル抽出回路を取り上げた。MTJ素子を用いた不揮発記憶機能内蔵の全加算器を設計し、細粒度パイプライン構成により基本回路ブロックである絶対差分和(SAD)回路を実現した。動きベクトル抽出回路はSAD回路が2次元的にアレイ配置された構成で実現され、隣接SAD回路間で絶対差分演算の結果を累積しながら最終的な絶対差分和を出力するアーキテクチャにより構成した。累積絶対差分和結果はパイプラインステージと共に増加するが、予め設定されたあるしきい値と比較することで最終結果に影響しない方法で演算を途中で停止させることができる。この仕組みにパワーゲーティングを適用し、細粒度パイプライン構造における細粒度パワーゲーティングを実現した。本成果は、国際学会(IEEE NEWCAS 2012)で発表すると共に、SAD回路のテストチップ試作を行い、その評価結果と共に国際学会(IEEE ISSCC 2013 Student Research Preview)で発表した。 また、非同期式パイプラインシステムへの応用例として、並列検索機能を持つCAM(Content-Addressable Memory)を取り上げた。従来のパイプライン形CAMワード回路における同期式制御手法を排除し、検索処理途中で後段パイプラインステージでの演算が不要と判明し次第、次の検索入力に対して前倒しで検索処理を行うことで、高速性と低電力性を両立できるCAMを実現した。本成果は、国際学会(IEEE ASYNC 2012)で発表すると共に、特許出願を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで、不揮発記憶機能を内蔵した基本演算回路(機能ゲート)の考案、並びにその性能面での最適化とバラツキ耐性面での最適化を行った。また、不揮発機能ゲートを用いた細粒度パイプラインシステムへの応用例として動画像処理プロセッサでの細粒度パワーゲーティング機能実現と共にその低電力化を実現した。このように、当初予定していた基本的な研究実施項目のすべてを完了していると考えている。 この他に、非同期パイプラインシステムへの応用として、まずは不揮発記憶素子を使わない形で、CAMでの非同期パイプライン効果を検討し、高速性と低電力性を両立できることを確認した。このことにより、非同期パイプライン構成による不揮発CAM実現への道が拓かれた。 これらの意味において、「当初の計画以上に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究活動で培ってきた知見を活かし、デバイス・回路・システムのすべてのレベルからの統合的なアプローチにより、不揮発記憶素子を用いた細粒度パイプライン演算システムの高性能化・低電力化・コンパクト化を実現する手法について推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度が本研究課題の最終年度であるため、これまでの集大成である研究成果を学会等で発表するための旅費、および雑誌論文等へ掲載するための掲載料として研究費を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)