2011 Fiscal Year Research-status Report
GPUグリッドのための細粒度サイクル共有技術の理論構築と応用
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23700057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊野 文彦 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (90346172)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 高性能計算 / GPGPU / マルチタスク / グリッド計算 |
Research Abstract |
本研究の目的は, GPU(Graphics Processing Unit)向けマルチタスク機構をもとに,グリッド環境において細粒度サイクル共有を実現するための(A)細粒度スケジューリングや(B)遊休サイクルモデルなどの未だ解明されていない基礎的な問題を解決することである.さらに,(C)バイオ情報学などにおける応用へ展開するための研究基盤を確立し,電子文書を編集しながらも科学計算を高速化できることを示すことを目指している.平成23年度は,細粒度サイクル共有を実現するための(A)細粒度スケジューリング機構を開発し,その機構を用いて(C)バイオ情報学における応用を試みた.開発した機構は,GPU向け開発環境として標準になりつつあるCUDA(Compute Unified Device Architecture)を前提とする.機構は,画面の描画レートおよびCUDAプログラムを入力とし,入力された描画レートを下回らない範囲でCUDAプログラムの性能を最大化する.機構の特長として,描画アプリケーション側のコード修正を必要としないため,グリッドのような多様かつ大量の計算機環境に適応できる.また,頻繁だが短い遊休サイクルを検出するための資源選択アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは遊休時間の長さに関する分布に着目し,より長く遊休するであろう資源を選択する.これらの開発を基に,バイオ情報学における相同性検索への応用に取り組んだ.以上の成果のうち,細粒度スケジューリング機構の一部はConcurrency and Computation: Practice and Experience誌にて発表した.また,相同性検索を用いた評価に関してはIEEE誌において採録が決まっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,平成23年度の研究細目として(1)細粒度スケジューリング機構の開発,(2)実行履歴の収集,および(3)資源選択アルゴリズムの開発を挙げている.(1)については,計画通り科学計算の仕事を分割し,その実行時間を制御できている.具体的には,CUDAの実行モデルが互いにデータ依存のない計算の集合(スレッドブロック)を前提にしていることに着目し,ブロック単位での分割を実現した.現在のところ,このような静的な分割で対処できており,動的な分割を必要とするケースはない.したがって,画面の描画レートを定期的に計測するなどの対応は試みていない.(2)については,GPU/CPUの計算負荷,キーボード/マウス操作の有無,描画レートなどの履歴を少なくとも1分間隔でデータベースに蓄積する実行履歴の収集システムを開発した.このシステムを用い,20日間に渡り14名の実行履歴を収集した.当初の目標「半年以上に渡る20名以上の履歴収集」はまだ達成できていないが,システム開発の方向性を決めるためには十分な量である.(3)に対しては,遊休時間の長さが冪分布に従うことに着目する資源選択アルゴリズムを考案し,実システムに組み込んだ.(2)で取得した実行履歴を用い,アルゴリズムの優位性をシミュレーションにより確認できており,計画は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降も当初の計画にしたがい,(B)遊休サイクルモデルの確立と(C)実応用による実証実験に取り組む.(4)これまでにCPUのための遊休モデルが提案されている.そのモデルを拡張し,描画を司るGPUを対象とする遊休モデルを構築する.具体的には,計算資源の状態をCPUおよびGPUごとに定義し,それらの状態間を遷移する確率過程(隠れ準マルコフモデル)を履歴から推定する. (5)課題を簡素化するために,広域環境の複雑さを除外し外乱のない研究室内において設計モデルを検討する.資源ごとの遊休モデルをもとに全体の性能を推定できたならば,より複雑な広域環境上に設計を発展させ研究の発展を図る.より多くの資源を管理する必要があるため,高性能のサーバを経費に計上している.さらに,2012年3月に発表されたKeplerアーキテクチャのGPUを追加し,新しいアーキテクチャへの対応を図る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた海外発表をとりやめたため,平成23年度の研究費に未使用額172,683円が生じた.この未使用額は平成24年度に海外発表を実施することにより執行する.
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Research Products
(6 results)