2013 Fiscal Year Annual Research Report
GPUグリッドのための細粒度サイクル共有技術の理論構築と応用
Project/Area Number |
23700057
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊野 文彦 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (90346172)
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Keywords | 高性能計算 / GPGPU / マルチタスク / グリッド計算 |
Research Abstract |
本研究の目的は, GPU(Graphics Processing Unit)向けマルチタスク機構をもとに,グリッド環境において細粒度サイクル共有を実現するための(A)細粒度スケジューリングや(B)遊休サイクルモデルなどの未だ解明されていない基礎的な問題を解決することである.さらに,(C)バイオ情報学などにおける応用へ展開するための研究基盤を確立し,電子文書を編集しながらも科学計算を高速化することを目指した. (A)に対しては,画面の描画レートfとCUDAプログラムを入力とし,fを下回らない範囲でCUDAプログラムの性能を最大化できるマルチタスク機構を開発した.この機構は,科学計算の仕事を分割し,その実行時間を制御することにより,fを適応的に調節する.また,ミリ秒単位の遊休時間を活用するために,2つの実行モードを用意し,これらをGPUの負荷状況に応じて使い分ける.次に,(B)に対しては,延べ20名の被験者に対して数ヶ月以上の実行履歴を取得し,準マルコフ過程により遊休時間の長さを予測した.検定の結果,従来のモデル化と比べて有意水準1%で提案のモデル化が優れていることが分かった.さらに,(C)に対しては,バイオ情報分野における応用の1つである相同性検索に適用し,電子文書を編集しながらも相同性検索を高速化できることを示し,その性能を定量的に示した. 最終年度(平成25年度)は,昨年度に改良した(A)細粒度スケジューリング機構を論文誌としてまとめ,International Journal of Networking and Computing誌に投稿した.一方,遊休サイクルのモデル化に関しては,6名の被験者を対象に6ヶ月に渡る実行履歴を取得し,準マルコフ過程により遊休時間の長さを予測した. 以上の成果は,IEEE誌などの国際論文誌に発表した.
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