2011 Fiscal Year Research-status Report
高速LSIの信号伝搬速度検査対象経路の正確性および網羅性向上に関する研究
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23700061
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮瀬 紘平 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (30452824)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | VLSI設計技術 |
Research Abstract |
医療機器や航空機制御に使用されているLSIは直接人命に関わるため、高度な品質保証技術が必要である。しかし、さらなるLSIの高速化や大規模化により、LSI内部の故障の原因となる信号伝搬の速度を正確にかつ網羅的に検査することが困難となってきた。信号伝搬速度検査の品質は検査対象経路の正確性と網羅性によって決定される。本研究では、高速・大規模LSIに対して正確性および網羅性の高い信号伝搬速度検査の対象経路選択技術の確立を目的としている。本研究は、(1)正確でかつ網羅的な信号伝搬経路選択と、(2)高品質信号伝搬速度検査入力生成で構成される。現在までに、(1)と(2)の一部を終了させ、国内研究会と査読有の国際的ワークショップで成果を発表した。(1)正確でかつ網羅的な信号伝搬経路選択において、現在までに商用STAツールを用いてタイミング制約の厳しい(遅延値の大きい)経路を選択した。STAツールでは、実動作時に動作しない経路を選択する可能性があるが、選択した経路に対して検査入力生成を行うことで実動作時に動作する可能性の高い経路を選択した。検査入力が生成できた場合でも実動作時に動作しない可能性もあるがその部分に関しては今後の課題とした。(2)高品質信号伝搬速度検査入力生成において、網羅性の高い遅延故障検査入力と品質の高い遅延故障検査入力をマージする技術を開発した。その結果、網羅性の高い遷移遅延故障検査入力に対して、網羅性を低下させることなく信号伝搬速度検査の品質を向上させることに成功した。この成果は、上記にも述べた通り、国内研究会と査読有の国際的ワークショップで成果を発表した。また、同様の技術を用いることにより、消費電力削減の可能性も見出した。実際の消費電力削減に関する研究は今後の課題としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、(1)正確でかつ網羅的な信号伝搬経路選択と、(2)高品質信号伝搬速度検査入力生成で構成される。(1)においては、一部課題は残っているものの現在までの成果により、(2)に関する研究が可能になった。そのため、網羅性の高い遅延故障検査入力と品質の高い遅延故障検査入力をマージする技術の開発に至り、国内研究会と査読有の国際的ワークショップで成果を発表している。既に成果を公式の場で発表できたことは、本研究がおおむね順調に進展していることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)正確でかつ網羅的な信号伝搬経路選択に関する研究においては、現在までにある程度の成果をあげているので、今後は(2) 高品質信号伝搬速度検査入力生成の一部である高品質信号伝搬速度検査における消費電力削減に関する研究を中心に行う。信号伝搬速度検査入力の品質と検査の際の消費電力はトレードオフの関係にあると考えられるため、どちらを重視するかは本研究成果のユーザーが指定できる形式にし、検査入力の品質向上効果と消費電力削減効果を任意に制御可能な仕組みを構築する。上記の消費電力削減に関する研究と並行して、(1)で残されていた課題である実動作時に動作しない経路を選択する可能性をできるだけ低くする研究も行う。最終的には、本研究課題の成果を国際会議、学術論文誌で発表するために論文投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【設備備品費】データ保存用の外付けハードディスクを購入する。【国内旅費】最終的な成果を国内研究会で発表するための旅費に使用する。【外国旅費】最終的な成果を国際会議で発表するための旅費に使用する。【謝金】評価実験における大量のプログラム実装には実験補助が必要である。大学院生1名に100千円の支払いに使用する。【その他】電子情報通信学会論文誌の掲載費用、学会参加費に使用する。
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Research Products
(2 results)