2011 Fiscal Year Research-status Report
環境変動への耐性と省電力を両立したネットワークの構築
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23700077
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大下 裕一 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 助教 (80432425)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 環境変動 / 仮想ネットワーク / 制御 / 省電力 |
Research Abstract |
本研究では、環境変動への耐性と低消費電力を両立した大規模ネットワークを構築することを目的としている。本年度においては、近年注目を集めている大規模ネットワークの一つであるデータセンターネットワークを想定した上で、トラヒック変動が発生した際に局所的な情報をもとに適切な経路にトラヒックを収容することが可能な構造の検討を行った。検討では、経路制御手法とネットワーク構成の様々な組み合わせを評価し、環境変動に対応しつつ、多くのトラヒックを収容することができるようなネットワーク構成と経路制御手法の組み合わせを明らかにした。評価の結果、下位層のネットワーク構成を相互接続することにより上位層のネットワーク構成を構築するという階層的手順で構築されたネットワーク構成が、スイッチ間ホップ数を短くすることができ、多くのトラヒックを収容する構成として適していることが明らかになった。また、階層的に構築したネットワーク構成の中でも(1) 各階層においてスイッチあたり複数本のリンクを構築する、(2) 相互接続する下位層のネットワーク構成が多い階層ほど、各スイッチあたりのリンク数を多くする、の2 点を満たすようにリンクを構築したネットワーク構成が、局所的なトラヒック情報を用いた経路制御に適しており、この条件を満たすネットワーク構成上で局所的なトラヒック情報を用いた経路制御を行うことにより、環境変動発生時にも各サーバー間に十分な帯域を確保できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、環境変動への耐性と低消費電力を両立した大規模ネットワークを構築することを目的としている。環境変動への耐性と省電力を両立するために、本研究では、環境変動への耐性を持つ物理ネットワーク上に、仮想的なネットワークを構築し、仮想ネットワークの構築に不必要な機器の電源を落とすことにより、低消費電力を達成することを考えている。しかしながら、環境変動の中でもトラヒック変動は突発的に発生することも考えられるため、仮想ネットワークにおいても、突発的に発生する環境変動に対応できるようにしておく必要がある。今年度は、突発的に発生するトラヒック変動に対応できるようなネットワーク構造を明らかにしており、次年度以降、そのトラヒック変動に対応できる構造を持ちつつ、低消費電力な仮想ネットワークを構築する手法を検討することで、最終年度までに目的を達成可能である見込みであり、課題への取り組みは順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかにした、トラヒック変動への対応が容易なネットワーク構造を維持しつつ、消費電力が低い仮想ネットワークを動的に構築する手法の検討を次年度以降に行う予定である。その際に、本研究で対象としている大規模ネットワークでは、集中的な監視・制御を行うことは困難であると考えられるため、ネットワークを部分に分割して制御する方法や、分散的に仮想ネットワークを制御する手法について検討を行う予定である。その検討を通し、環境変動に対応して仮想ネットワークを制御しつつ、消費電力を抑えるという研究目標を達成する見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、大規模なネットワークを想定して、提案する動的なネットワーク制御手法の評価を行う必要があり、高速な計算機を購入する予定である。当初の計画では、初年度に高速な計算機を購入する予定であったが、初年度の検討では、大規模ネットワークでの動的な仮想ネットワークの制御の評価までは行わず、高速な計算機は不要であったため、高速な計算機の購入は2年目以降に行うという変更を行った。また、国内外の学会において、研究成果の発表や研究に必要な情報収集を行うことを予定しており、研究費によりそれらの旅費を支出することを予定している。
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