2012 Fiscal Year Research-status Report
無線センサネットワークにおけるモバイル端末を用いたデータ収集に関する研究
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23700078
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神崎 映光 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (80403038)
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Keywords | 無線センサネットワーク / モバイルシンク / 移動体通信 |
Research Abstract |
無線センサネットワークにおいて、人や車両等がもつモバイル端末をデータ収集用端末(モバイルシンク)として利用する場合、これらモバイルシンクのもつ移動特性を考慮したデータ転送機構が必要となる。平成24年度は、モバイルシンクを導入した無線センサネットワークにおいて、センサデータの収集を高信頼・低遅延で実現することを目的とし、下記の課題それぞれについて研究を推進した。 (1) モバイルシンクとの接続状況に基づくデータ転送:平成23年度に引き続き、モバイルシンクのいずれかにデータを転送するための通信制御手法について研究を推進した。平成23年度は、モバイルシンク群の移動特性が変動した場合の影響について、考案手法の性能を評価するにとどまっていたが、平成24年度は、この変化に対する影響を緩和する、よりロバスト性の高い手法を考案した。 (2) センサデータの特性を利用したデータ転送の効率化:モバイル端末において取得したデータを、データを蓄積・管理する基地局に収集する際に、類似したセンサデータを効率よく集約するデータ転送手法について研究を推進した。具体的には、同一のセンサデータをもつモバイル端末が転送経路上で連続して存在するよう、転送経路を動的に制御する手法を提案した。さらに、センサデータの特性のみならず、無線通信の特性を考慮したデータ収集の効率化についても、さらなる効率化のための拡張を行った。 上記の手法それぞれに対し、実験による性能評価を実施し、従来研究および平成23年度に考案した手法と比較して、データ収集の効率化が実現できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、これまでに積極的に研究を推進した結果、当初の計画を上回る進展が見られた。以下、研究実績の概要にて述べた各研究課題について、これまでの達成度を説明する。 (1) モバイルシンクとの接続状況に基づくデータ転送:当初の目標は、平成23年度に考案した手法の性能を改善するための拡張手法について検討し、得られた成果を国内外の会議や論文誌等において発表することであった。研究実績の概要で述べたとおり、移動特性が動的に変化する環境にも適応できるよう、考案手法の拡張が完了している。また、得られた成果は国際会議において発表を完了しており、これらから、本課題については、当初の計画どおり、おおむね順調な進展が見られるといえる。 (2) センサデータの特性を利用したデータ転送の効率化:平成23年度の段階で、本年度の実施を目標としていた課題の実施を完了している。平成24年度は、平成23年度に考案した手法に加え、センサデータの特性を考慮したデータ転送経路の制御についても研究を推進した。さらに、無線通信の特性を考慮したデータ収集についても、さらなる効率化のための拡張まで完了している。これらの成果については、国内外の会議における発表まで完了しており、このことから、当初の目標を超える進展があったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
以下、各研究課題について、今後の研究の推進方策を説明する。 (1) モバイルシンクとの接続状況に基づくデータ転送:平成24年度までは、モバイルシンクが定期的に発信する信号(ビーコン)の有無を、各センサノードが常時監視し、その状況に応じてデータ転送先決定のための情報共有を行っていた。ここで、モバイルシンクの移動特性は、日中はオフィス街に人が集中し、夜間は繁華街に集中しやすいなど、時空間的な特性がある程度推測できる可能性が高い。このような特性を利用し、モバイルシンクが多数通過しやすくなる領域をセンサノードにおいて予め推測することで、モバイルシンクの移動特性の変化に対してさらにロバストなデータ転送を実現できるものと考えられる。今後は、モバイルシンクの移動特性をセンサノードの協調動作によって推測し、モバイルシンクへのデータ転送に利用する方法について検討する。 (2) センサデータの特性を利用したデータ転送の効率化:平成24年度までは、定期的な環境情報の観測など、センサデータの生成が断続的である環境を想定していた。ここでセンサネットワークでは、例えば火災発生時など、緊急のイベントが発生している領域内で継続的に観測を行う場合も考えられる。このような環境では、一部のセンサノードにおいて連続的なデータ観測が行われるため、モバイルシンクへのデータ転送も長期間に渡って継続しなければならない。今後は、このような連続的なデータ転送も効率的に行える手法について検討する。 さらに、最終年度にあたり、上記考案手法の統合についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下、研究費の用途について、今後の使用計画を説明する。 【物品費】各研究課題および考案手法の統合にあたり、詳細な動作検証および性能評価を行う必要があり、平成24年度までに調達したものより大規模なシミュレーション環境が必要である。そのため、シミュレーション実験を並列して行うためのシミュレーションソフトウェアライセンス、および大規模演算が可能なコンピュータが必要になる。さらに、実環境上での動作検証については、より端末数を増やした実験を行う必要があり、そのための端末が必要になる。成果発表の際には、論文別刷代金が必要となる。 【旅費】平成24年度までに引き続き、資料収集や関連研究者との打合せのために、国内外への旅費が必要である。また、国内会議および国際会議に、それぞれ2件ないし3件程度の成果発表を行うため、旅費が必要となる。 【その他】国内外の会議において調査や成果発表を行うため、これらの会議への参加費が必要となる。また、論文誌による成果発表を行うため、論文掲載料金が必要になる。
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Research Products
(7 results)