2011 Fiscal Year Research-status Report
環境変動への適応性が高く電力消費の少ないセンサデータ収集機構の開発
Project/Area Number |
23700079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷口 義明 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教 (50532579)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | センサネットワーク / 情報収集 / 省エネルギー / 適応性 / ネットワーク / 同期 / 逆相同期 / 位相ロッキング |
Research Abstract |
近年、無線送受信機能を持つセンサ端末を多数配置してネットワークを構成することにより、大規模農場の監視、自然環境中の生体観測、火口の観測など環境情報を遠隔地から取得するセンサネットワーク技術が、大きな注目を集めている。電池で駆動するセンサ端末からなるセンサネットワークの長期運用の為には、省電力制御が大きな課題となる。また、センサ端末の追加、故障、電力枯渇、電波伝搬状況の変化など環境変動への適応性も重要となる。本研究課題では、大規模センサネットワークにおける環境変動への適応性が高く電力消費の少ないデータ収集方式の開発を行う。本研究課題は、環境変動への高い適応性と電力消費の少ない制御を実現するため、生物の同期メカニズムをモデル化したパルス結合振動子モデルをセンサネットワーク制御に応用する。パルス結合振動子モデルを用いることにより、完全同期状態、位相ロッキング状態、逆相同期状態等の様々な種類の同期を表現できる。本年度は、パルス結合振動子モデルにおける位相ロッキング状態および逆相同期状態の2つの同期状態を応用した、センサネットワークのためのデータ収集方式の基礎検討を行った。また提案方式の有効性を確認するためのシミュレーションソフトウェアを開発し、提案方式の基本的特性を明らかにした。また、提案手法を用いることにより、既存の手法と比べて高いデータ収集率を達成できることを示した。得られた成果は学術集会で発表することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、パルス結合振動子モデルにおける位相ロッキング状態を、センサネットワークにおけるデータ収集手法に応用することを想定して検討を進めていた。しかしながら、検討を進めていくうちに、位相ロッキング状態のみの応用で目標とするデータ収集手法を実現することが困難であることが明らかとなった。そのため、パルス結合振動子モデルにおける位相ロッキング状態と逆相同期状態の2つの状態を組み合わせるように、手法を変更した。そのため、当初、本年度に、テストベッドによる動作確認までを行う計画であったが、シミュレーションソフトウェアによる動作確認までにとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに提案した方式の詳細な評価を行うと共に、テストベッドを用いた実験評価を行う。これらの評価結果に基づき、手法の改良、確立を行う。さらに、定常的にデータを収集するアプリケーションを対象とした自律分散TDMA 型データ収集方式の開発を行う。開発した収集方式は、シミュレーション評価によりその有効性を検証する。また、評価に基づく提案手法の改良も行う。これらにより得られた成果は、適宜、国内研究会、国際会議、および国際論文誌に投稿し、積極的に成果を発表していくことを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
提案手法のシミュレーション評価およびテストベッドによる実験評価のために、コンピュータ、コンピュータ関連消耗品および実験消耗品に研究費を使用することを予定している。また、得られた成果を国内研究会、国際会議、および国際論文誌に投稿し、積極的に成果を発表していくことを予定しているため、それらに伴う旅費、学会参加費、論文の英文校正費として研究費を使用することを予定している。さらに、当該分野は研究の進展の早い分野であり、常に最新の動向を把握しておく必要がある。情報収集のための学術集会参加に伴う旅費として研究費を使用することを予定している。
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Research Products
(3 results)