2011 Fiscal Year Research-status Report
無線メッシュネットワークのための多種多様な環境を考慮した確率論的経路制御手法
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23700089
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
池田 誠 福岡工業大学, 情報工学部, 助教 (10592941)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ネットワークプロトコル / モバイルネットワーク技術 / ユビキタスコンピューティング / 相互接続性 / ネットワークアーキテクチャ / ネットワークシミュレーション / メッシュネットワーク / アドホックネットワーク |
Research Abstract |
無線通信装置の複数の無線通信のサポートが可能になり,移動体への高速な転送を実現するためのサービス提供が事業化されている.メッシュノードの設計がよりモジュール性が高くなり異なる周波数で通信する複数の無線カードをサポートできるようになったためである.本研究では,コンピュータのみで自立分散的に構成するネットワークとそのゲートウェイとしてメッシュノードを複数接続する無線メッシュネットワークを構築し,多種多様な環境におけるネットワークの冗長性と環境特性の関係を明確にする.この結果をもとにユーザが効率的にネットワークを利用しサービス品質を満足する高信頼性確率論的経路制御手法を提案することを本研究の目的としている.当該年度は,無線メッシュネットワークのためのテストベッドシステムをノートパソコンとOpenBlockSを利用し現在実装中である.そして,既存のアドホックネットワークのための経路制御プロトコルをベースに無線メッシュネットワークのためのプロトコルの実装を目指し,ネットワークシミュレータを用いたシミュレーションを行った.このネットワークシミュレーションには多大な時間がかかり,備品として購入した計算機システムを用いることで計算時間の短縮がはかれている.また,無線メッシュネットワークの最適なメッシュルーター配置問題のためにメタヒューリスティック手法の遺伝的アルゴリズムを利用し研究を行った.この成果として,ルーターの最適な配置箇所を求めるため,ルーターに隣接する端末の配置パターン(様々な環境を想定する)を用いてシミュレーションすることが可能になり,実験に活用できる有益な結果を得ることができた.また,学術論文(査読付)に9件,国際会議(査読付)に20件の論文が採録された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づいて、研究が進展している。初年度は、無線メッシュネットワーク(WMN)のためのテストベッドシステムをノートPC とデスクトップPC を利用し実装した。そして、既存のアドホックネットワークのためのテストベッドシステムを改良しWMNのためのテストベッド環境を構築している。アドホックネットワークは通信インフラを必要としない、自律分散なネットワークを構成する。ノードは移動するため、ネットワークトポロジは刻々と変化し、経路切断が頻発する。これを科研費で購入した計算機システムとNetwork Simulator 3(ns-3)を用いて、ネットワークシミュレーションによる様々な環境における通信問題を明らかにした。また、メタヒューリステック手法の遺伝的アルゴリズムを用いるメッシュルータの配置の最適化を行った。さらに、ゲートウェイ端末をOpenBlockS 600Dで現在実装している。研究成果として多数の国際会議に論文が採録され,2011年9月にアルバニアで開催された国際会議「The 14th International Conference on Network-Based Information Systems (NBiS 2011)」では発表した論文が「Best Paper Award」を受賞し,国際的にも本研究が認められた。当該年度に以下の項目を中心に研究を行った。(1)テストベッドの拡張(メッシュゲートウェイ・利用可能無線通信方式の追加)(2)従来手法(BATMAN、DYMO、DSDV、AODV)との比較評価 (3)WMN-GAシステムの実装とその評価
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づいて研究を推進する予定である。初年度で構築した無線メッシュネットワークのテストベッドとシミュレーションシステムをもとに、ネットワーク構築のためのリソース使用量低減のための方式、アルゴリズムについて研究を行う。本経路制御手法は、日常的な状況を考慮するとともに、劣悪通信環境も考慮した経路制御手法である。本研究でのメッシュノードは初年度で提案したメタヒューリスティック手法の遺伝的アルゴリズムや焼きなまし法を使って最適なメッシュノードの配置を求める。また、アドホックで繋がるノードの代表ノード選出アルゴリズムには2つの手法を提案する。1)遺伝的アルゴリズムにより端末データベースをソートする。その中で最も優れている端末が自端末であった場合、自端末が代表ノードとなる。実際は残存電力と端末密度に基づいて進化的計算を行っていく。これにより、代表ノードとなる準最適な端末が選出できる。2)遺伝的アルゴリズムによる手法を利用する場合、オーバーヘッドが大きいうえに、端末が高頻度で移動する場合、準最適解を算出したときには既にトポロジが変化し、通信範囲内の端末の状態が変化している可能性があり、進化的計算の長所を生かしきれない可能性が高い。そこで、単条件でのソーティングアルゴリズムを組み合わせる。つまり、QoS パラメータの残存電力と端末密度のうちどちらか一つをパラメータとして選択し、代表ノード選定の最適解を求める。代表ノードに選出された端末は閾値以下になるまで代表ノードであるため、負荷分散機能も考慮する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策で述べたアルゴリズムと通信プロトコルの設計を行い実装する。また、メッシュネットワークに参加する端末を増やし、外部ネットワークとのゲートウェイに専用端末を用いるために、開発・実験用機器に研究費を使用する計画をたてている。また、次年度には以下の研究も行う。(1)無線メッシュネットワークのための負荷分散アルゴリズムの提案(2)端末密度の算出法としてGPSがあるが、GPSが使えない環境での新たな通信品質の提案(3)MAC プロトコルの改良と実装(4)無線メッシュネットワークのためのアプリケーションの提案と開発とアプリケーションの利便性評価 これらの研究の成果を発表するために論文登録費と渡航費に研究費を利用する.すでに,7月にイタリアで開催される国際会議(査読付)に論文が採録されることが決定しており論文発表を行う予定である.平成23年度に未使用額が生じた理由は、当初予定していた研究費の見込金額と実際の執行額に差が出たためである。研究は研究計画以上に進展しており、平成24年度には未使用額も含めて上記使用計画にて研究を進めていく予定である。
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Research Products
(29 results)