2012 Fiscal Year Research-status Report
情報過多な共有仮想空間における情報の差別化とユーザの意識誘導の実現
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23700094
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
山本 眞也 山口東京理科大学, 工学部, 助教 (10552375)
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Keywords | アンビエント・インテリジェンス / 情報の差別化 / Quality of Experience / 分散仮想環境 |
Research Abstract |
本年度は,以下の(1)-(3)の研究とその成果発表を行った. (1) ユーザの意識の自然な誘導を実現するために,注目すべきオブジェクト以外を霧状の半透明画像で隠すフォグ効果,注目すべきオブジェクトをスポットライトのように目立たせるハイライト効果など,アンビエント・インテリジェンス技術による視覚効果を実装した. (2) (1)で実装した視覚効果を適切に適用するため,各オブジェクトの正確な重要度判定を行う一方で,アンビエント・インテリジェンス技術による視覚効果の範囲を考慮したクラスタリングによるグループ選別を並列して行うアルゴリズムを考案した. (3) 仮想空間と実空間を違和感なく重ね合わせるために必要な屋内におけるユーザの位置推定を行うため,既存研究より多数のマーカを利用でき,高精度かつ高速なGPGPU計算を用いたARマーカ読み取り手法を実装した. (1)~(3)の成果を用いたユーザの日常生活を支援するシステムを提案し,国内研究会 DICOMO 2012 および国際会議 IEEE SENAmI 2013 にて発表した.提案システムでは,まず,ARマーカをランドマークとして設置し仮想空間と実空間の位置合わせを行い,その位置関係を利用して実空間の机や棚などのオブジェクトの情報を仮想空間上に登録する.ユーザがタブレット端末に搭載されたカメラで対象空間を撮影すると,この入力映像からARマーカを検出し,位置関係をもとに各オブジェクトの情報を導き出す.これらを用いて優先度の計算やグループ選別を行い,AR技術による仮想的な視覚効果でカメラから入力された映像を装飾し,ユーザに提供する.このシステムによって,情報の差別化と空間装飾によるユーザの意識誘導がどの程度実現できるかについて評価を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
開発用機材として購入予定であった3次元立体ディスプレイ搭載タブレット端末が発売中止となったため,一旦,3D立体視を用いた実地実験に向けた研究を見送り,3次元の仮想空間と2次元の視覚効果を用いたアンビエント・インテリジェンス技術によるユーザの意識の自然な誘導に関する研究を行った.研究成果として,国内シンポジウム DICOMO 2012,国際会議 IEEE SENAmI2013 にて研究成果の一部を発表した.しかし,上記の通り,研究機材の調達ができていないことにより,3D立体視の視覚効果に関連する研究が遅延しており,研究計画から見て,全体的に遅れが認められる.
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Strategy for Future Research Activity |
開発用機材として裸眼3D立体ディスプレイ搭載タブレット端末を購入する予定であったが,発売中止となったため,3D立体視の視覚効果に関連する研究が遅延している.購入予定であった端末と類似の裸眼3D立体ディスプレイ搭載タブレット端末が発売されれば,3D視覚効果を用いたユーザの意識の自然な誘導を実現するための研究にとりかかる. 裸眼3D立体ディスプレイ搭載タブレット端末が発売されない場合には,これまでに行ってきた二次元の視覚効果用いたユーザの意識誘導の研究とそれを効果的にユーザに提供するためのユーザ毎の優先度・重要度やクラスタリングを用いたグループ選別などによる情報の差別化の研究を引き続き行う. また,ユーザ毎の情報の差別化よって変化する配送木など,ネットワーク構造に合わせたQoS制御手法の考案,仮想空間と実空間を違和感なく重ね合わせるために必要な屋内におけるユーザの位置推定の研究などもあわせて推進する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費の使用計画では,開発用機材として裸眼3D立体ディスプレイ搭載タブレット端末を購入する予定であったが,発売中止となったため,より研究に適した実験機材を購入するため,3D立体視に関連する研究機材の購入を延期した. 次年度の研究費使用計画として,本年度の持ち越し金は類似の裸眼3D立体ディスプレイ搭載タブレット端末が発売されれば,3D立体技術に関する開発機材の購入に用いる.そのようなタブレット端末が発売されない場合には,ユーザの意識の自然な誘導を実現するための研究に支障が出ないよう,二次元の視覚効果を中心に研究を進め,それに合った研究機材を購入する.その他の研究費の使用計画に変更はない.
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