2011 Fiscal Year Research-status Report
ユーザの利用環境に依存しない品質制御実現のための相対的主観評価値の測定
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23700097
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Research Institution | Japan Coast Guard Academy (Center for Research in International Marine Policy) |
Principal Investigator |
佐藤 寧洋 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), その他部局等, 講師 (80571554)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 通信品質 / 主観評価 / 情報通信 / インターネット / 心理学的測定法 |
Research Abstract |
本研究では、ユーザのネットワーク環境や利用端末に依存しないユーザの主観評価の測定を目指している。昨年度は、ユーザの主観評価の測定法および測定環境の構築と、トラヒックやネットワーク構造による通信品質の劣化具合の変化について調査を行った。・ユーザの主観評価の測定法および実験環境の構築ダウンロードするファイルを管理するためのサーバおよびネットワーク機器を購入し、有線または無線ネットワークによって接続し、ユーザ(被験者)がネットワークサービスを受けることを想定した実験環境を構築した。さらに、主観評価値の測定にあたっては比較的大容量なデータファイル(数百 MB)や動画ファイルを複数用意し、5名の被験者を対象とした測定実験を行い、問題なく動作することを確認した。実際の環境における主観評価値の測定が行えることが重要であることからも、実験環境が構築できたことは重要である。また、評価法については、MOS 値による評価法を基本とし、本実験に向けて準備することができた。・トラヒックやネットワーク構造による通信品質の劣化具合の変化ユーザが受けるサービスの内容やネットワーク構造・設定によってもユーザの主観評価値は大きく影響を受けると考えられる点から、ネットワーク環境やトラヒックの種類による主観評価値に与える影響について検討した。主にネットワーク環境について着目し、ネットワークの構成要素(ルータやハブ、サーバなど)が同じであっても接続形態や個々の要素の処理能力の違いによって通信品質は大きく影響されるということを明らかにした。主観評価の測定値にもとづいた品質制御は帯域予約などが主に考えられるが、接続リンクの回線速度だけではなくネットワーク構造についても今後併せて検討していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
評価実験環境の構築については完了したが、多数の被験者による実験が行えなかった。これは環境構築に時間がかかってしまい、被験者の大規模な募集にまで至らなかったためである。少数での測定結果については取得できているが、本研究の意義からも多数の被験者による実験が有益であると考えいるため、この点について計画からは多少遅延が発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
・今年度はまず被験者を多く募り(予定では100名程度)、できるだけたくさんの測定結果を得ることにある。さらに、測定結果からネットワーク環境やトラヒックの種類に関係なく人間が不満と感じる性能劣化のしきい値を明らかにすることである。被験者については、コンピュータに熟練した者や情報ネットワークに精通した者ではなく、一般の利用者を想定した者を募集する予定である。これは、知識量や経験の違いにより測定結果に偏りを生じさせないためである。・次に、取得した測定結果や上記の分析によって得られたしきい値にもとづいたネットワーク上での品質制御について検討する予定である。ここでのしきい値はネットワークでの利用帯域を想定しており、実際のネットワーク上において、得られたしきい値にもとづく通信制御を行った場合に、本当にユーザは不満に感じないのか、もしくは品質制御されていることにすら気づかないのかなどについて調査する。さらに、さまざまなネットワーク環境やトラヒックの種類に対しての制御を行い、ユーザにとって適切な品質制御が行えているのかどうかを評価する。・また、実ネットワークにおける実現可能性についても検討する。ユーザが通信品質に対して意図的に悪い評価をすることで制限を受けにくくするなどといった不正に対する予防策、またはどの程度の頻度で主観評価を取得し、品質制御にフィードバックするのかなどについて検討する。上記の結果については、今年度も国内研究会や国際会議などでの発表を少なくとも1件ずつ行い、国内外学会への学術論文誌へ投稿することで、積極的な成果の公表を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験ネットワークにおける品質制御にあたっては、ネットワーク内において通信制御を行う必要があるため、必要機能を有するルータやサーバなど必要に応じて購入する予定である(予定額25万円程度)。また、それにかかわる消耗品(ケーブル類、周辺機器など)も購入予定である(予定額5万円程度)。他大学との研究打ち合わせ、および研究成果の公表に伴う旅費・学会参加費として国内旅費(東京方面の出張2回、大阪方面5回、総額25万円)、海外旅費(アメリカを想定、約30万円)を使用する予定である。また、国内外学会への論文誌の投稿(論文誌投稿費用約15万円を予定)を行い、積極的な成果の公表を目指す。
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