2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700100
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹島 由里子 東北大学, 流体科学研究所, 講師 (20313398)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 可視化 / ユーザインタフェース / 粒子系 / ライフサイクル管理 |
Research Abstract |
粒子シミュレーションはさまざまな複雑な現象の解析に利用されているが、計算結果の解析に必要となる視覚解析環境の整備が不十分であり、粒子系解析の効率が著しく損なわれている。そこで、本研究計画では、粒子系解析に必要となる粒子初期配置システムおよび計算結果を解析するための大規模粒子系可視化環境の開発を行うとともに、粒子系解析プログラムと統合し、解析の履歴をも管理する粒子系解析のライフサイクル支援環境の実現を目的としている。23年度は、粒子系ライフサイクル支援環境の基礎となる、大規模粒子系可視化技術の開発および粒子初期配置インタフェースの構築を行った。大規模粒子系可視化技術の開発では、GPUを利用して、粒子を高速に描画する手法の開発を行った。GPUの種類によって、多少動作が異なる場合があるため、いくつかのGPUを用いて動作確認などを行った。大規模な粒子系を可視化する際、視点から離れた粒子の画面上での大きさは小さくなるので、遠方の粒子では複雑な交点計算を行わず、高速に描画することにより、全体の描画速度の向上を図った。また、粒子以外の特性として、電荷密度分布などを表すために、等値面の描画機能を加えた。等値面は、一般的なポリゴン表示ではなく、粒子と同様に点の集合として描画することにより、より高速な描画を実現した。粒子の初期配置インタフェースの構築では、汎用PCの利用を考えると、2次元ディスプレイを用いて3次元空間上に粒子を配置する必要があるため、粒子を投影した面上で操作することとした。これにより、3次元空間内での傾きなどが表現しにくくなるため、3次元空間内での傾きを色で表すこととし、2次元平面上で3次元空間内に粒子を配置しやすくするための工夫を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に計画した、大規模粒子系解析の可視化技術の開発として、高速な可視化技法の導入および、粒子以外の特性を表現するための描画手法の開発を予定通り進めることができた。また、粒子の初期配置インタフェースについても、2次元ディスプレイ上で3次元空間内に粒子を配置する工夫を施すことができた。これにより、24年度で行う予定の研究内容の基盤ができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に研究を行った、大規模粒子系ライフサイクル支援環境の基礎を利用して、24年度は発展的な研究を進めていく。大規模粒子系の可視化では、描画速度が不安定になるとユーザに負荷がかかることが知られているため、高速な描画速度を維持しながら、安定した描画速度を提供するようなスキームの構築を行う。粒子の初期配置インタフェースの構築では、汎用的な環境の研究から、力覚デバイスを利用したインタフェースの構築に移行する。力覚デバイスを用いることにより、粒子間の反力をユーザに返すなどの工夫を行うことができるため、より柔軟な粒子の初期配置が可能になると考えられる。また、25年度にこれらの環境を統合することを考えている。そこで、それぞれの環境を統合するためのインタフェースの構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、本年度購入した視覚解析用PC上での開発を進めるため、50万円以上の備品の購入は予定していないが、視覚解析用PC上で利用するソフトウェアが必要となると考えている。さらに研究打ち合わせおよび調査として学会参加のための旅費と参加費を旅費およびその他に計上した。また、研究成果の公開として、論文誌の投稿を考えており、その投稿料を加えた。次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成23年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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