2012 Fiscal Year Research-status Report
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23700100
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹島 由里子 東北大学, 流体科学研究所, 講師 (20313398)
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Keywords | 可視化 / ユーザインタフェース / 粒子系 / ライフサイクル管理 |
Research Abstract |
粒子シミュレーションは、さまざまな現象の解明に利用されている。しかし、スカラ場やベクトル場と比較して、計算結果の解析に必要となる視覚解析環境の整備が不十分であり、粒子系解析の効率が著しく損なわれている。そこで、本研究計画では、粒子径解析に必要となる粒子初期配置システムおよび粒子系解析のライフサイクル支援環境の実現を目的としている。平成24年度は、平成23年度に開発を行った大規模粒子系可視化技術及び粒子初期配置インターフェースを発展させ、粒子系統合解析環境の構築を行った。 大規模粒子系解析結果の可視化技術の開発として、描画速度の不安定さから生じるユーザの負荷を軽減するために、描画速度を一定に保ちながら、解析に必要となる精度を維持する時間重視レンダリングを実現した。具体的には、人間の視覚特性を考慮し、ユーザが着目している領域以外の粒子を陰影をつけた円盤として表現することにより、描画に要する時間を短縮している。また、描画速度を一定に保つために、PID制御を用いて、ユーザの着目領域の範囲を動的に制御することにより、開発の際に生じるユーザの負荷を軽減できた。 粒子の初期配置インターフェースの構築では、力覚化装置を用いて、対象としている粒子が別の粒子に近づいた場合は、粒子間の反力を計算し、それを力覚としてユーザに呈示するシステムを開発した。これにより、従来のマウスを用いた粒子配置システムよりも直感的な粒子の配置が可能となった。 数値解析環境と視覚解析環境の統合においては、粒子配置システムで作成した粒子初期配置から、粒子シミュレーションを行うためのインタフェースの作成を行った。これにより、粒子配置システムから直接、粒子シミュレーションを行うための基盤が構築できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定していた、大規模粒子系解析結果の可視化技術の開発、粒子の初期配置インタフェースの構築、数値解析環境と視覚解析環境の統合のいずれも予定通り進めることができた。粒子系可視化技術や、粒子配置システムについては、ユーザテスト等による評価が必要であるため、平成25年度にそれらの実施を検討している。また、数値解析および視覚解析環境の統合システムについては、実現象に対する適用などを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに研究を行った、大規模粒子系ライフサイクル支援環境を拡張し、粒子系処理で生じるすべてのデータを一括管理する機構を構築する。これにより、粒子系解析処理の出自や、計算パラメタ、可視化結果画像、得られた知見などを統合的に管理することができる。また、データを一括管理するためのデータベースの構築、データを保存・再利用するためのユーザインタフェースの作成を行う。 最終的に、実データを適用し、システム全体の有効性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、平成23年度に購入した視覚解析用PC上で利用するソフトウェアの他に、研究調査および成果報告のための学会参加の旅費および参加費を旅費およびその他に計上した。また、研究成果の公開として、論文誌への投稿を考えており、その投稿料を加えた。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い、発生した未使用額であり、現在投稿中の次年度に開催される国際会議での成果報告に利用する予定である。
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