2011 Fiscal Year Research-status Report
大量高精細映像のための高機能インタラクティブ配信方式
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23700108
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
笠井 裕之 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 准教授 (40312079)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 画像符号結合 / マルチビジョン伝送 / 符号変換 / レート歪み関数 |
Research Abstract |
MB ライン符号変換のための領域分割符号方式のアルゴリズムを確立し,MB ライン符号変換処理ソフトウェア実装によるファイルからファイルへの変換実験から処理量及び画質評価を行った.「係数個数符号予測に起因する画質劣化低減方式」については, フレーム境界MB 内ブロックのTotalCoeff を最適な値で固定化することで予測不一致を回避する方式を提案し,大幅な変換速度向上を達成した.隣接ブロックのTotalCoeff は固定値X ということを仮定することで,当該MB を符号化することが可能となるため,領域符号結合における隣接ブロックTotalCoeff 不一致による符号列崩壊を回避することが可能となる.さらに,本手法により発生する画質劣化については,最適なTotalCoeff値の導出方法として,理論的なレート誤差解析から導きだす方法を提案し,その有効性を主観評価及びPSNR 評価を行ない確認した.次に「画質劣化を低減可能な符号長調整処理方式」については,符号長調整(バイトアラインメント)のためのビット調整アルゴリズムとして,MB ラインを2パス符号化を用いたビット調整方式を提案した.具体的には,一度目の符号化の際は,アラインメントするための調整ビット数を計測し,二度目の符号化の際にMB ラインの中の一つ以上のブロックに焦点を当て,ブロックの係数値を調整することで,1~7ビットの調整を行う.具体的には,当該ブロックの低周波数成分(AC 成分)から6 つの係数のみを用いることによって,それより周波数が高い成分に依存せず,1~7ビット調整を可能とする方式を検討した.本処理においても,係数を調整することから,画質劣化を主観評価及びPSNR 評価ともに行ない,画質劣化を低減可能であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「係数個数符号予測に起因する画質劣化低減方式」については, フレーム境界MB 内ブロックのTotalCoeff を最適な値で固定化することで予測不一致を回避する方式を提案し,大幅な変換速度向上を達成した.ここでは,従来方式と比較して,入力ビットストリームの量子化パラメータによる係数分布にも依存するが,概ね約40倍から100倍以上の速度向上達成した.これは,画像伝送サーバにおいては,収容ユーザ数の同値程度の向上を実現することとなることから,サーバ費用の大幅な削減を実現できる.従って,本提案方式の有効性は極めて高いものを考えられる.一方,当初より問題視されていたパラメータ固定による画質劣化についても大きな問題ではないものの,それを低減するための量子化制御方式を提案した.これは,符号結合時の大幅な速度低下を回避しながら,画質劣化を低減することが可能であることから有効である.一方,「画質劣化を低減可能な符号長調整処理方式」については,符号長調整(バイトアラインメント)のためのビット調整アルゴリズムとして,MB ラインを2パス符号化を用いたビット調整方式を提案した.これは,上記の変換速度の向上の主要因の一つとなっていることから,この方式の有効性は前記の通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,高速化された符号変換方式を実システムへ転換する際に課題となる「低遅延メディアファイルアクセス方式のアルゴリズム」を確立し,MB ライン符号変換方式とあわせてシステム実装することで統合評価を行う.具体的には以下の通りである.○視聴領域移動特性を考慮したファイルアクセス予測方式:変換処理とファイルアクセスが同時に発生することを回避するため,視聴領域が移動するか否かの検知とファイルアクセス(オープンやシーク)を,実際の変換処理とは異なるプロセス(スレッド)で行うことで,ファイルアクセス速度の変換処理速度への影響を低減する.検知については,クライアント端末からの視聴領域移動情報を随時監視し,新たにアクセスする符号を利用した実際の変換処理が行われる1周期前に,移動の判定を行う.これにより,1周期分,別プロセスでファイルアクセスを行うことが可能となる.○ ファイルアクセス特性を考慮した分散ファイル配置方式:さらに,ファイルアクセスの集中を回避する方式を提案する.具体的には,同時に結合される領域符号を含むメディアファイル同士を異なるストレージに配置することで,アクセス速度を分散化することが可能となる.映像のファイルアクセス特性,例えば,視聴者からのアクセス特性も含めて,最適なファイル配置アルゴリズムを確立することで,高速変換を実現する方式を研究する.○ システム実装による統合評価実験:上記の提案アルゴリズムについてシステム実装し統合的な速度評価を行う.先に述べたように,本成果は,実サービスとして展開開始するため,実際のフィールド実験として実システムを用いた検証,評価が可能となる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,上記低遅延メディアファイルアクセス方式のアルゴリズムの検証に関わる装置の整備と,実験を行うための環境整備のための作業補助用謝金に使用する.特に後者については,複数の環境(OSやプラットフォームを含む)におけるトライアンドエラー作業が発生するため,作業の補助が必要となる.また,様々なストリームを用いた実験も必要であることから,その準備などにも補助が必要となる.最後に,研究成果の発表については,IEEEのConsumer Electronicsソサイエティのフラッグシップ会議International Conference on Consumer Electronics 2013(米国ラスベガス)に発表を予定しており,その参加,渡航費用に充当する.
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