2011 Fiscal Year Research-status Report
Web応用へ向けたベクタ画像検索システムの研究開発
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23700109
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
林 貴宏 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60342490)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 画像検索 / ベクタ画像 / データベース |
Research Abstract |
本研究は内容に基づくベクタ画像検索システムの構築を目標としており、その中で本年度は、主に、ベクタ画像検索のために必要な前処理である物体領域分離法の開発と評価を目的として研究を行い、以下の研究成果が得られた。[1]ゲシュタルト知覚論において定性的に示されている人間の視覚特性である群化をモデル化し、人間の視覚特性に合った物体領域分離法を開発した。具体的には、群化の要因の一つである「よい形の要因」に着目し、遮蔽によって欠損している物体領域の輪郭部を補完(アモーダル補完)する手法を開発した。これまでに遮蔽された図形の輪郭線を補完する既存手法としては、スプライン補間などの曲線補間を欠損輪郭線の補完へと応用する手法が知られていたが、これらの既存手法では、輪郭線が滑らかな曲線によって定義されている必要があり、制約が大きかった。一方で、本手法は、輪郭線の欠損部分を図形の対称性を考慮して補完する点が特徴である。これにより、微分不可能な点を含む複雑な輪郭線に対しても補完を可能とした点は意義が大きい。[2]ベクタ画像検索システムのプロトタイプとして、ベクタ画像の輪郭線に沿って一定間隔で特徴点を抽出し、特徴点の空間的分布の類似性により類似ベクタ画像検索を実現する手法を実装した。現時点で高い精度が得られているが、検索のための計算時間が大きいため、データベースのサイズが制限されており高速化が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目的の中で、以下が達成された。・ゲシュタルト知覚論において定性的に示されている人間の知覚特性を計算論的に定量化し,計算機処理可能な複数物体領域分離モデルを構築した。・複数物体領域分離法の評価にはアンケート調査を利用し、人間による複数物体分離の結果と、計算機による複数物体分離の結果を比較し、複数物体分離方法の有効性と限界点を明らかにした。また、得られた知見、研究成果を国内外の研究会等で発表した。一方で、以下の目的の達成状況がやや遅れている。・大量のベクタ画像を管理するためのベクタ画像データベースの構築には至っていない。これは、現時点で開発済みのベクタ画像のインデクシング法では、検索での高い精度が期待できるが、検索計算時間が大きいことが原因である。多量のデータを扱えるようにするためには、高速検索に適したベクタ画像データの適切なインデクシング法に改良する必要がある。ただし、この点に関しては現在開発が進んでおり、平成24年度の前半段階で解決できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度中にデータベース管理用の計算機の導入する予定であったが「大量のベクタ画像を管理するためのベクタ画像データベースの構築」の達成状況が予定よりもやや遅れているため、平成23年度中の導入を見送った。ただし、この点に関しては現在開発が進んでおり、平成24年度の前半段階で解決できる見込みである。データベース管理用計算機の購入は、平成24年度に導入する。その他の計画は、当初の交付申請書に記載した通り実施する予定である。平成24年度は、ベクタ画像のマッチング法の開発と評価および負荷分散スケジューリングの実装を行う。まず、スケッチから得られる構図とベクタ画像から得られる構図とのマッチング法を開発する。そこで、複数物体領域分離法を利用し、ベクタ画像を物体領域単位に分解し、物体領域単位での部分画像検索を実現する。そのために、ベクタ画像から特徴点を検出し、ベクタ画像の検索問題を特徴点分布の類似性評価の問題へと帰着させて解くというアプローチを採用する。次に、マッチング法の評価として精度や実行時間を測定する。マッチング精度測定のために、スケッチと正解画像を評価用データとして作成する必要がある。そこでまずは、数人規模の被験者によってスケッチを描いてもらい評価用データを作成してもらう。その後、研究室など小~中規模な人数で評価してもらい、マッチング精度の向上確認と本システムの有効性を評価する。また、負荷分散スケジューリング用計算機と複数のマッチング処理用計算機とを連動させて複数の検索要求の同時処理を可能とするための実装を行う。得られた知見,研究成果を国内外の研究会,論文誌等で発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度から継続している「大量のベクタ画像を管理するためのベクタ画像データベースの構築」を達成するために、データベース管理用の計算機を導入する計画である。また、平成24年度は、主にベクタ画像のマッチング法の開発と評価および負荷分散スケジューリングの実装を行うために、以下の研究費の使用を計画している。・複数の検索要求の同時処理を可能とするための負荷分散スケジューリング用計算機、マッチング処理用計算機を導入する。負荷分散に必要なマッチング処理用計算機の台数は最小構成の2台を予定しているが、それでも処理能力が不足する場合、さらに必要台数を追加していく予定である。・ゲシュタルト知覚論に基づく人間の視覚特性の定量化(複数物体領域分離モデルの構築)に際し,モデルを信憑性のあるものにするため,研究協力者である視覚心理学等の専門家との打合せを行うための打合せ旅費が必要である。・その他、記録メディア等消耗品購入費、書籍購入費、研究成果発表のための旅費、プログラム作成学生アルバイト、実験用評価データ作成アルバイトのための謝金、論文別刷代が必要である。
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Research Products
(4 results)