2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700132
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
奥 健太 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (70551555)
|
Keywords | 情報推薦システム / 限定価値 / 地理情報検索 / セレンディピティ |
Research Abstract |
アイテムの限定価値を考慮した推薦システムの実現に向けた研究を行っている.本研究では,人は,いつでもどこでも手に入るアイテムよりも,いまだけ,ここだけしか手に入らないアイテムに魅力を感じるという点に着目し,アイテムの限定価値の表現方式につい て検討している.特に,(a)空間的限定価値,(b)時間的限定価値に着目して研究に取り組んでいる. 前年度から,効果的な推薦システムを設計するために,ユーザがどのようなアイテムに価値を見出すかという観点に着目し,新しい評価指標に基づく推薦システムの検討を行ってきている.平成24年度は,前年度に検討してきた結果を踏まえ,システムを実装し,その評価を行った.具体的には,新しい評価指標の一つであるセレンディピティの観点から提案システムや既存システムの評価を行った.これらの成果をまとめた論文が,論文誌2件に掲載された.また,提案システムについては,Webシステムとして公開した. (a)空間的限定価値については,グルメ情報サイトであるぐるなびから収集した位置情報付き飲食店データを基に,対象地域ならではの語句を抽出する手法を実装した.この成果をまとめた論文が,論文誌1件に掲載された.また,提案手法を実装した地域限定ぐるめ推薦システムを公開した. (b)時間的限定価値については,前年度から,Twitterにおいて発信される位置情報付きツイートを収集してきている.平成24年度は,ツイートの位置情報および時間情報に基づき解析することで,観光地の時間的特徴付けを行う手法を提案した.この成果については国内研究会2件,国際会議1件の発表を行った. 限定価値を考慮した情報推薦システムの有用性を示すことにより,従来の嗜好に忠実な情報推薦とは異なる,新しい観点に基づく推薦システムの実現可能性を示すことができる.情報推薦分野において本研究を遂行することの学術的意義は大きい.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,前年度の検討結果を踏まえ,新しい評価指標に基づく推薦システムを含め,(a)空間的限定価値および(b)時間的限定価値の算出方式について,実装,評価を行った. まず,新しい評価指標に基づく推薦システムに関する研究については,おおむね順調に進展しているといえる.具体的には,新しい評価指標としてセレンディピティに着目し,そのセレンディピティを重視した推薦システムの提案を行った.この研究成果に関しては日本知能情報ファジィ学会誌およびヒューマンインタフェース学会論文誌に掲載された.その他,国際会議RUE2012などにおいても研究発表を行った.また,提案手法を実装したWebシステムの公開も行った. (a)空間的限定価値の算出方式に関する研究についても,おおむね順調に進展しているといえる.本研究では,位置情報付きのコンテンツとして,グルメ情報サイトであるぐるなびから,62,571件の飲食店データの収集を行った.この位置情報付き飲食店データを解析することで,対象とする地域ならではの名物やランドマークなどを抽出する手法を提案した.この研究成果に関しては,情報処理学会論文誌:データベースに掲載された.また,本手法を実装したWebシステムの公開も行った. (b)時間的限定価値の算出方式に関する研究についても,おおむね順調に進展しているといえる.前年度から,位置情報および時間情報付きのコンテンツとして,マイクロブログサービスであるTwitter上で発信されたツイートの収集を継続的に行ってきた.その成果があって,収集した位置情報付きツイートに基づき,観光スポットなどの時間的特徴の抽出手法を提案するまでに至った.この研究に関しては,国際会議SCIS2012および国内会議DEIM2013,情報処理学会第75回全国大会などにおいて成果発表を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで,新しい評価指標に基づく推薦システム,(a)空間的限定価値および(b)時間的限定価値の算出方式に関する研究に取り組んできた.前者の,新しい評価指標に基づく推薦システムおよび(a)空間的限定価値の算出方式に関しては,【現在までの達成度】に記載したとおり,論文誌への論文掲載およびWebシステムへの公開を行うまでに至った.したがって,平成25年度は,(b)時間的限定価値の算出方式に関する研究を中心に,実装および評価,成果発表を行っていく. 平成24年度までに,位置情報および時間情報付きのコンテンツとして,マイクロブログサービスであるTwitter上で発信されたツイートの収集を継続的に行ってきた.また,収集した位置情報付きツイートに基づき,観光スポットなどの時間的特徴の抽出手法を提案してきた.平成25年度では,観光スポットの時間的特徴に基づいた観光スポット推薦システムの実装および評価を行い,国内研究会および国際会議にて研究発表を行う予定である.また,論文誌への掲載も目標としている.さらに,提案手法を実装したWebシステムの公開も予定している. また,これまで行ってきたツイートの収集は,本年度も継続し,より多くのツイートでの実装も検討していく予定である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,推薦システムのユーザ評価および研究成果発表が主となる.そのため,実験補助として被験者への謝金等,国内研究会および国際会議,さらには学会誌への投稿に予算を割り当てている.また,必要に応じて,位置情報付きツイートなどのデータセットの購入も検討している. 研究成果発表の目標としては,9月に開催されるヒューマンインタフェースシンポジウム2013(九州大学),Webとデータベースに関するフォーラム2013(場所未定),データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム2014(場所未定)などの国内研究会での研究発表,ACM Recommender Systems 2013などの国際会議での研究発表を予定している.そのための国内および外国旅費,英文校閲費などを予算に割り当てている.さらには,学術論文誌への投稿も予定しているため,学会誌への投稿料も割り当てている. その他,必要に応じて,研究に必要なデータセットや計算機環境の購入費や情報収集のための費用(出張費や文献購入費など)も割り当てている. なお,今年度の研究費の一部を学会誌投稿料として割り当てていたが,この費用に関しては大学の補助を受けるなどにより節約できた.そのため,今年度は約11万円の未使用額が生じた.
|