2012 Fiscal Year Research-status Report
実写映像処理に基づく運転模擬環境の構築と視覚特性評価
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23700138
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 晋太郎 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (80526799)
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Keywords | ドライビングシミュレータ / 自由視点映像 / 道路構造モデリング |
Research Abstract |
本研究は、ITS(高度交通システム)の中核ツールであるドライビングシミュレータ(DS)において、実写運転映像により現実感を高め、DSが交通問題の解決のために適切に活用されるようにすることを目的とする。以下に、これまでに達成した事項について述べる。 ・従来のCGによる表示方式に加え、実道で撮影した映像を合成して表示できるようにした。運転映像は、光線空間法による擬似的な視点変更、および主成分分析によるデータ圧縮に対応した。 ・運転映像の描画方式において、デプスマップを垂直な二枚の平行壁面とした場合と円筒とした場合で比較したところ、円筒の場合の方が現実世界とは異なるにもかかわらず、車線変更時の視覚的違和感が小さいという結果が得られた。これは、背景映像については並進運動よりも回転運動を正しく再現することの方が視覚特性においては支配的である可能性、また平行壁面に映像を投影する際の映像品質の劣化が影響している可能性を示唆している。 ・問題となっていた撮影時のサンプリング車両振動について、ソフトウェア的に補正する手法を開発した。特徴点の追跡により全方位カメラの位置姿勢を算出し、特徴点部分については計算により、他の部分については球状のメッシュを仮定して補間することで、並進移動を含めた振動補正後の画像を試験的に構成した。また、この結果を用いて視点変更の手法を改良し、映像品質が向上していることを確認した。 ・DS運転映像のうち前景部分(道路構造など)のモデリングについては、道路図面データを変換することでDS用のシナリオエディタに取り込めるようにした。ただし、CG内の面の向き、法線定義、テクスチャの扱い、歩道・高架構造物の扱いなどについては、一部、対応できない点が残った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に挙げた予定項目は基本的には概ね実施されている。但し、「研究実績の概要」に述べた通り、道路図面データをDSのシナリオの前景部分へ変換する部分などにおいて、一部、未対応の点が残った。また、参加を予定していた学会が異例の定員超過となり参加できず、十分な調査を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) DS環境の構築については、本研究の範囲においては完成したものとする。 (2) DS運転映像(背景部分)の構築については、車両振動の補正について改良を加える。 (3) DS運転映像(前景部分)の構築については、電子図面データから半自動的に構築する部分に改良を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
改めて調査を行うための学会参加費などに20万円程度、開発を進めるための消耗品、作業補助謝金などに20万円程度使用することを予定している。
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Research Products
(5 results)