2011 Fiscal Year Research-status Report
デジタルミュージアム実現のための直接タッチ可能な実物大展示システムに関する研究
Project/Area Number |
23700152
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
脇田 航 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (80584094)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / デジタルミュージアム |
Research Abstract |
本研究は,デジタルミュージアム実現のため,重要文化財を非接触で計測し,視覚情報だけでなく,触力覚などの多感覚情報を用いて多面的にモデル化し,実物大・等身大スケールでリアルタイムかつ高精細に文化財を提示するだけでなく,直接触ったり,手にとって重さや形,触感を感じながら,様々な方向からインタラクティブに観賞するといった,直接インタラクション可能な高臨場感・高没入感を伴う展示インタフェースの実現し,また,文化財の形状,色,質感などを効率よく計測・モデル化し,多感覚で提示するためのフレームワークを確立することを目的としている.本年度の計画として,直接タッチ可能な実物大の文化財展示システムの実現,および,非接触方式による祇園祭の文化財の計測の2つを予定しており,まず,平成23年の祇園祭終了後,船鉾保存会の収納庫の改修工事のため,収納庫に保管する文化財を長期間外部に移動する計画が予定されていたため,この機を利用し,レーザレンジスキャナによる三次元形状計測及びマルチバンドカメラによる文化財の計測を行った.その際,大型の織物文化財を高精細に計測するためのシステム開発を行い,三次元立体的な織物文化財すべての形状計測を行い,解析に基づき,三次元モデル化を行った.この結果はコンピュータグラフィックスの国際会議Eurographicsに採択となった.また,デジタルアーカイブ化された文化財モデルを実物大・等身大スケールで展示し,テクスチャベースの視触力覚提示手法によりリアルタイムかつ高精細に提示するだけでなく,直接タッチ可能な高臨場・高没入型のインタラクティブな展示インタフェースを実現するための展示システムの設計を行い,タイルドディスプレイでの実現は困難なことから,ヘッドマウントディスプレイを用いた等身大仮想環境展示システムのプロトタイプを実現した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画として挙げていた祇園祭後の計測作業については,設計したシステムに問題がなく,8~9月にかけて順調に計測が進み,すべての立体的織物文化財について計測することができた.計測した膨大なデータについては,一つの作品のみ解析,統合,モデル化することができた.また,もうひとつの計画として挙げていた等身大展示システムの開発については,2つ以上のディスプレイを立体視するためには予算的に困難であることから,ヘッドマウントディスプレイによるプロトタイプシステムの開発を行った.装着の煩わしさや視野が狭い等の問題があるが,等身大展示システムの実現についての目途は立った.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,次年度は計測によって得られたデータを解析,統合,モデル化し,表面の微細構造や,質感情報の推定・モデル化を試みる.また,実物大展示システムについては,鑑賞者の視点や視線情報をとることは可能であるが,立体映像に直接触るという部分については精度よく実現できていないため,提示精度を上げることを目標に引き続き開発を続けていく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は主に前年度の計測で得られたデータを解析,統合,モデル化,展示するためのシステム開発費,および,国内外の研究発表旅費等の成果発表に使用する.
|