2011 Fiscal Year Research-status Report
筋固有感覚に基づいたダイナミックタッチにおける知覚メカニズムの解明
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23700154
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
朝尾 隆文 関西大学, システム理工学部, 助教 (10454597)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ダイナミックタッチ / アフォーダンス / 関節トルク / 筋固有感覚 / 棒長さ知覚 |
Research Abstract |
ヒトは視覚情報がなくとも,棒を振るとその長さを知覚することができる.このような感覚はダイナミックタッチと呼ばれている.古くからダイナミックタッチに関する研究が行われてきたが,棒長さの知覚メカニズムに関する確定的な知見は得られていない.平成23年度では,以下に示す3点の達成を目的とした.(1)静止,振りに関わらず,関節トルクによって棒の長さを知覚していることを明らかにする.(2)慣性モーメントが小さい棒では,振る加速度を大きくすることにより,棒長さの知覚精度が良くなることを示す.(3)慣性モーメントが大きい棒では,振る加速度を大きくせずとも,棒長さの知覚精度が良いことを示す. 研究実施計画に従って実験を実施し,以下に示す結果を得た.(1)静止保持においては,関節トルクに含まれる一次モーメントを手掛かりとして棒の長さを推測していると予想した.結果では個人差が大きく,一次モーメントを手掛かりとしている者,慣性モーメントを手掛かりとしている者がいることが分かった.(2)棒を振る周波数による知覚長さの違いは明確ではなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したとおり,当初の「研究の目的」を達成した.現在,平成23年度に得られた実績を投稿論文として執筆している.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の予算で購入した筋骨格モデリングソフトを使用し,筋固有感覚の推定をおこなう.ただし,被験者個々人のあらゆる生体情報を計測することは困難であるため,平均的な日本人の身体寸法でモデリングする. 筋固有感覚と棒の知覚長さの間に明確な関係が得られない可能性がある.その場合には,触覚をマスキングした実験をおこなうことにより,触感覚の違いによる棒の知覚長さの検証をおこなう.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,平成23年度に大型ソフトウェア「ARMOマッスルシミュレータ」の購入を予定していた.その後,当該ソフトウェアを購入するにあたって,再度情報を収集し吟味したところ,「筋骨格モデリングツール AnyBody Modeling System」は「ARMOマッスルシミュレータ」と同じことができるが,より信頼性があり,細かな設定を自分でプログラミングすることができることが分かった.当初の購入予定物品とのコスト-性能比を考えると,代替品の方が本申請研究に適していると判断し,これを購入することに変更した.これの購入設備の変更により余剰金が発生したため,平成24年度に繰り越すこととした. 平成24年度には,実験のための消耗品の購入,および被験者への謝金を支出する.また,国内での成果発表および情報収集をおこなう.学術雑誌への投稿のため,英文校正業者への校正費用を支出する.特に,前年度の繰越金を使用し,当初計画していたものより多くの被験者で実験を実施するための謝金を支出する.さらに,韓国で開催される国際会議に参加し,当該研究の成果発表を行う.
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Research Products
(2 results)