2012 Fiscal Year Annual Research Report
筋固有感覚に基づいたダイナミックタッチにおける知覚メカニズムの解明
Project/Area Number |
23700154
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
朝尾 隆文 関西大学, システム理工学部, 助教 (10454597)
|
Keywords | ダイナミックタッチ / 棒の長さ知覚 / 筋固有感覚 / 触覚 / 固有振動数 |
Research Abstract |
ヒトは視覚情報がなくとも,棒を振るとその長さを知覚することができる.このような感覚はダイナミックタッチと呼ばれている.古くからダイナミックタッチに関する研究がおこなわれており,棒の長さの知覚には筋固有感覚の影響が大きいと指摘されてきたが,その知覚メカニズムに関する確定的な知見は得られていない.本研究では,以下に示す5点の達成を目的とした.(1)静止,振りに関わらず,関節トルクによって棒の長さを知覚していることを明らかにする.(2)慣性モーメントが小さい棒では,振る加速度を大きくすることにより,棒長さの知覚精度が良くなることを示す.(3)慣性モーメントが大きい棒では,振る加速度を大きくせずとも,棒長さの知覚精度が良いことを示す.(4)筋固有感覚と知覚長さの関係を明らかにする. 平成24年度は,まず,前年度の結果についてより深い検討を実施した.(1)の結果からは,被験者によっては棒を完全に静止できておらず,棒が多少動いていた可能性が示唆された.(2),(3)の結果より,静止,振りに関わらず,棒に少しでも動きがあれば,その長さを知覚できることが示唆され,目的(4)に掲げた筋固有感覚と知覚長さの間の相関性は否定された.以上の検討により,棒に少しでも動きがあれば,手掌に伝わる振動を手掛かりとして,その長さを知覚していると考えられた.そこで,棒の固有振動数を算出し,知覚長さとの回帰分析を実施した.その結果,知覚長さと一次モーメント,知覚長さと慣性モーメントの寄与率よりも,知覚長さと固有振動数の寄与率の方が高いことが示された.すなわち,ダイナミックタッチにおける棒長さの知覚には,筋固有感覚よりも触覚情報が重要であることが示された.
|
Research Products
(1 results)