2013 Fiscal Year Annual Research Report
語句の分布情報を利用する形式言語学習理論に基づく実用的アルゴリズムの研究
Project/Area Number |
23700156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉仲 亮 京都大学, 情報学研究科, 助教 (80466424)
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Keywords | 文法推論 / 計算論的学習理論 / 文脈自由言語 / PAC学習 |
Research Abstract |
文法推論は形式言語の理論的な学習可能性と効率を追究する研究分野であるが,正則言語の学習に関する豊かな蓄積が応用分野にも影響を与えているのに対し,それを超える文脈自由言語等の学習に関しては肯定的な結果が少なく,応用分野へのインパクトは限定的であった.近年, Clark を中心とする研究者らによって,文中での語句の分布に基づいた学習の方法論が研究され,いくつかの文脈自由言語の部分クラスに対して効率的な学習アルゴリズムが提案されている.本研究では,このアプローチを深化させ,多様な応用分野に即したフォーマリズムに対して効率のよいアルゴリズムを提案することで,理論的な精度保証のある実用的なアルゴリズムに直結する理論的基盤を与えることを目指した. 平成23,24年度は,従来文脈自由文法を対象としていた分布学習の手法を,文脈自由木文法や,多重文脈自由文法,さらには並列多重文脈自由文法といった,より強力な他の文法形式へと拡張し,分布学習理論をより強力で汎用性のあるものへと成熟させた.このような分布学習理論の深化を踏まえて,平成25年度は,分布学習の既存のアルゴリズムを確率的学習(PAC学習)の理論へと翻案することに成功した.従来の分布学習理論における決定論的なアプローチでは,質問に正確に答える教師など,非常に質の高い情報資源を仮定していたが,実世界で得られる情報とは乖離があった.負例が得られず,正例のみが確率的に与えられるような場合,どのような環境の確率的振る舞いが,高精度高確度で文脈自由言語の学習の成功を保証するのか理論的に解析を行い,肯定的な結果を得た.
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Research Products
(3 results)