2013 Fiscal Year Research-status Report
人間の内的制約と思考特性に着目した新世代コミュニケーションメディアの開発
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23700163
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
小倉 加奈代 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (10432139)
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Keywords | コミュニケーション / CMC / テキストチャット / マルチスレッド対話 |
Research Abstract |
本研究は,コミュニケーションにおける人間の内的な制約の緩和・解消と,人間の思考特性の活用により,既成概念を超越可能とする新しいコミュニケーションメディアを考案・実装することを目的とする.そのために,(1)複数の時間流による忘却のメカニズムを組み込んだ議論記憶の精錬化を可能とするコミュニケーションメディア,(2)複数話題の同時進行が可能であり発言したいその時に発言を可能とするコミュニケーションメディア,(3)文化的・社会的要因および人間関係に影響を受けずに多様な意見を表出可能とするコミュニケーションメディアの3つのコミュニケーションメディアを考案,実装,統合することを最終目標とする. 本年度は,以下2つの課題を実施した.課題(a):前述3つのコミュニケーションメディアのうちの(1)と(2)の統合.課題(b):前述(3)に関連する新たなコミュニケーション形態の発掘. 本年度実施した課題のうち(a)については,今年度も引き続き作業中である.(b)については,ネット上のライブ放送における放送者と視聴者間のコミュニケーションにおいて,視聴者の文字コメントに対し音声読み上げ機能を利用し,それに対し,放送者が音声でリアルタイムに返答する形態に着目し,読み上げ音声利用により視聴者の匿名性を保ちつつ,文字コメントのみの利用よりもインタラクティブ性の高いコミュニケーションが可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,本研究の根幹をなす3つのコミュニケーションメディアのうちの2つの統合作業を終える予定であったが,終えることができなかった.理由としては,年度途中(7月)に所属変更があり,異動準備と研究環境整備に時間が必要であったこと,新しい所属の主要教育研究分野が本研究テーマとは大きく異なり,新しい所属での教育活動を優先したため,本研究に従事する十分な時間を確保することができなかったためである.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を完了するために残された課題としては以下4つである.(1)複数の時間流をとりいれたコミュニケーションメディアと複数話題の同時進行を可能とするコミュニケーションメディアの統合作業と有効性の検証,(2)文字コメントの読み上げ音声を用いたコミュニケーションメディアの構築と有効性の検証,(3)3つのコミュニケーションメディアの統合と有効性の検証,ユーザスタディの実施,(4)総括.残り課題に対する実現可能性を考えると,次年度は残り課題4つのうち(1)と(2)を確実に終え,可能であれば(3)のうちの統合作業を完了させることを目標とすることが妥当と考える.残り課題となる(3)の有効性の検証,(4)の総括については,本研究を1年延長し,延長年度に実施することを検討している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの達成度に記載のとおり,本年度は,年度途中に所属変更があったため,本研究に従事する十分な時間を確保することができなかった.そのために本年度実施予定であった有効性検証のための実験が行えず,実験の実施およびデータ分析等で使用する予定であった人件費・謝金を使用する機会がほぼなかった.また,成果発表や,調査活動も十分に行えなかったため,旅費や論文採録の際の印刷代(その他に該当)を使用する機会も当初予定よりも激減したため,次年度使用額に余剰が生じている. 今後の推進方策に記載のとおり,終了期限を1年延長することを検討しており,次年度使用額の余剰分は,本年度の遅延した実装作業,有効性検証実験,成果発表,調査にかかわる費用と,延長期間分の研究費に割当予定である.
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