2014 Fiscal Year Research-status Report
人間の内的制約と思考特性に着目した新世代コミュニケーションメディアの開発
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23700163
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
小倉 加奈代 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (10432139)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | コミュニケーション / テキストチャット / CMC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,コミュニケーションにおいて,距離やシステム上の制約ではなく,思考や心的特性のような「人間の内的特性」に着目し,人間の内的制約の緩和・解決および,人間の思考特性の活用により,既成概念の枠にとらわれない新しいコミュニケーションメディアを考案することを目的とする. 本年度は以下2つの課題を実施した.課題(1):話者交替規則にとらわれず複数話題進行を可能とするテキストチャットコミュニケーションの特性と,人間の忘却メカニズムを取り入れたコミュニケーションメディアの実装と有効性検証.課題(2):会話参加者の潜在的な感情を計測し,参加者自身へフィードバック可能とする手法の検討と実装. 上記2つの課題実施により以下の結果を得た.課題(1): 1つの発言をテキストもしくは音声で入力可能とし,発言が音声として入力された場合に,発言履歴上の当該発言を選択することで入力内容を再生可能とするシステムを基本とし,過年度に作成した,発言履歴が経過時間により移動する列と履歴が蓄積される列の複数種類の時間流をもつシステムを実装し,基本的な運用実験を行った.運用実験の結果,音声による発言が,経過時間により移動する列に入力された場合,再生を実行するまでの時間が短いことにより,音声発言が存在していることが気づきにくいという問題点が生じ,実装方法の再検討および改良の必要があることがわかった.課題(2):脳波と脈拍の2種類の生体情報を,人間の感情を二次元平面に表したラッセルの円環モデル上にマッピングすることで,「快-不快」,「覚醒-眠気」の2軸をもとに「よろこび」,「リラックス」,「怒り」,「悲しみ」のおおよそ4つの感情を同定し,その結果をキャラクタの動作として自分自身にフィードバックするシステムを考案,実装した.また,本成果を多様な意見を引き出すための発言管理のために課題(1)に取り込むことを検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初,本年度は,最終年度であり,(1)話者交替規則に縛られず複数話題の同時進行を可能とし,(2)複数の時間流による忘却メカニズムを組み込んだ議論の精錬を可能とし,(3)文化・社会的要因による人間関係に影響を受けずに多様な意見を表出可能とする3つの機能を組み合わせたコミュニケーションメディアを実装し,有効性を検証することを予定していた.しかし,2013年度途中に所属変更に伴う業務内容の著しい変化があったため,進捗に遅れが生じ,終了年度を1年延長することとした.そのため,達成度としては「やや遅れている」と評価する. しかし,1年延長を踏まえ,本年度は,最終年度の前年度という位置づけで前述の(1)と(2)の機能をもつメディアの実装と基本的な評価実験を行い,評価実験により実装上の問題が生じたため,次年度も継続して改良を行う必要が生じているが,(3)に関連する機能実装の目処が立ったため,「おおむね順調である」と考える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度を最終年度として,以下の課題を実施する.課題(1):話者交替規則にとらわれず複数話題進行を可能とするテキストチャットコミュニケーションの特性と,人間の忘却メカニズムを取り入れたコミュニケーションメディアの改良と有効性の検証,課題(2):課題(1)に参加者の潜在的感情情報,過去の発言順序を考慮した発言順序制御機能の追加と有効性の検証.課題(3):本研究の総括.
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Causes of Carryover |
本年度のシステム実装において問題点が生じ,改良が必要となり,本実験を行わなかったため,本実験に必要なサーバ,端末類の購入を見送ったため物品費に大幅な未使用額が生じた.また,同様の理由により,論文投稿を行わなかったため,論文投稿の際の別刷代が不要となり,その他の部分にも当初よりも大幅な未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の未使用分は,次年度の計画では最終的な有効性検証実験を行うため,そのためのサーバ類,実験用端末や,システム改良のための参考資料の物品購入および,対外発表の際の旅費,論文投稿の際に必要な別刷代のためのその他の経費に割当予定である.
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Research Products
(1 results)