2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700164
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鍋島 英知 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (10334848)
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Keywords | 結論発見 / 仮説発見 / 一階述語論理 / 命題論理 / 推論システム / 分割統治 |
Research Abstract |
平成24年度は主に以下の3つの研究課題に関して取り組んだ.それぞれの実績概要を示す. 1. 分割統治法に基づく並列型分散結論発見システムの基盤構築:これまで開発を進めていた分割統治法に基づく直列型結論発見システムの実装方法では並列分散処理への拡張が難しいと判断し,新たに並列分散処理への拡張を前提としたシステムの構築に取り組んだ.そのために,最良優先探索に基づく結論発見手続きを考案し,実装した.最良優先探索では良いタブローを評価する尺度が重要となる.そのため各種の特徴量に基づく尺度を比較検討し,一定の条件下において,これまでの直列型結論発見システムを上回る性能を得ることに成功した.また分割尺度や効率的な統治アルゴリズムについても検討を行った. 2. トップダウン型とボトムアップ型推論手続きの融合手法の実現と,トップダウン型推論手続きへの制限資源下での探索戦略の導入:トップダウン型とボトムアップ型の推論手続きを融合するための第一歩として,上述の最良優先探索に基づく結論発見手続きを考案した.また,ボトムアップ型推論手続きにおいて優れた現実的探索戦略として知られる制限資源下での探索戦略をタブローの評価尺度に導入し,一定の性能向上が得られることを確認した. 3. 命題版結論発見システムの実装と評価:これまでに開発したアルゴリズムに基づき,最新の命題論理の充足可能性判定器を用いて命題版結論発見システムを再構築した.大域的シンメトリーに基づく枝刈り手法は実現できたものの,局所的シンメトリーに基づく枝刈り手法は,充足可能性判定器からの充足不能コア抽出が実現した段階であり,今後の課題である.また評価実験において,現在のボトルネックが仮説生成や結論発見時の包摂検査にあることを明らかにし,包摂検査の効率化を図るため,前向きと後ろ向き包摂検査を同時に行う手法を考案・評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で示した3テーマのうち,「2. トップダウン型とボトムアップ型推論手続きの融合手法の実現と,トップダウン型推論手続きへの制限資源下での探索戦略の導入」については,アルゴリズムの考案と実装,評価が完了しており,当初の計画以上に進展している.次に「3. 命題版結論発見システムの実装と評価」に関しては,その推論エンジンとなる命題論理の充足可能性判定器の高速化にも成功し,それに基づく結論発見器の構築も完了している.その一方で,前年度に考案したシンメトリーに基づく枝刈り手法の導入のため,充足不能コアの抽出技術を実装する必要があり,その基本部分は完成しているものの,各種の簡単化技術への対応が今後の課題である.また,「1. 分割統治法に基づく並列型分散結論発見システムの基盤構築」に関しては,まだ並列型への拡張を前提とした基盤システムの構築が完了している段階であり,並列分散処理の実現には至っておらず,この点では少し遅れていると判断した. 以上より,テーマ1に関しては計画よりも遅れているものの,テーマ2については計画よりも進展している.テーマ3に関しては,計画通り進まなかった点はあるものの,当初の計画にはない成果も挙がっており,おおむね順調に進展しているといえる.よって総合的におおむね順調と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,前年度の成果を受けて以下の課題に取り組む. 1. 分割統治法に基づく並列分散結論発見手続きの実現と評価:前年度に構築した新しい結論発見システムをベースに,並列分散処理への拡張を行う.効率的な分割手法や統合方法については検討が完了しているため,早期に実現し,評価を行う. 2. 命題版結論発見システムの実装と評価:命題論理の充足可能性判定器から充足不能コアを抽出し,局所シンメトリーに基づく仮説枝刈り手法を実現する.充足不能コア抽出の基本部分は完成しているため,その実現は比較的容易であると考えている.また引き続き,現在のボトルネックである,膨大な仮説と結論の効率的管理方法について検討を進める. 3. SOLAR の結論発見能力を利用可能なスクリプト言語の開発:JRuby などの実用的スクリプト言語の Java による実装をベースに,SOLAR の結論発見能力,および一階述語論理における包摂チェックなどの各種操作を自然に利用可能なスクリプト言語を開発する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし.
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