2011 Fiscal Year Research-status Report
時系列と相互作用の記述モデルと学習による、家電・生活者の見守りに関する研究
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23700169
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 丈和 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (30362859)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ホームエネルギーマネジメントシステム / エネルギーの情報化 / Switching systems / 電力変動パターン予測 / Kalman Filter |
Research Abstract |
平成23年度には,家庭内で使用している家電の電力使用パターンを計測・収集する「スマートタップネットワークシステム」の構築を行い,実際にマンションルームに実装して生活データの収集を行った.また,収集したデータを用いて生活している人物の行動を推定する「電力データからの人物行動推定」アルゴリズムを開発し,実際に一人の人物が生活したデータに対して行動推定を行った.さらに家電の消費電力パターンの連続的な変動と不連続な変動をカルマンフィルタの切り替わりで表現する「Internal based Switching Kalman Filters」モデルを提案し,その学習と,学習結果を用いた電力変動予測アルゴリズムを開発した.これらの手法は,本提案のテーマである,家庭の電力消費パターンから,家電の状態モデルやそこに暮らす生活者の生活モデルの推定における基盤技術であり,また連続・非連続を記述する時系列モデル,およびお互いに関連しあう時系列データの相互作用の記述モデルとして一般化できる.さらに,生活者の生活の質(QoL)を保ちつつ,家庭内の電力使用量を上限値内におさめるための,家庭内エネルギーマネージメント技術である「Energy on Demand」システムを開発した.このシステムは家庭内の電力使用量の瞬時値の上限(最大瞬時電力),および一定期間の積算量の上限(節電率)を保証するこのとできる,世界でも類をみない新しいエネルギーマネージメント技術であり,また電力需給の逼迫に対して,各家庭で使用量を適切にコントロールすることで,過剰な供給力の増強を行うことなく需給バランスの安定化を図ることのできるシステムである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目標では,平成23年度には電力使用パターンの計測・収集システムを構築するとともに、電力パターンの過渡現象の時間的変化を記述するためのモデルの構築、およびそれを用いた異常検出アルゴリズムの構築を行うとあった.目標通り計測・収集システムを構築し,生活データの収集を続けている.また,時系列変化の記述モデルとして「Internal based Switching Kalman Filters」を提案し,実際に家電の電力変動を学習,予測する実験を行った.また,これらに加えて,平成24年度に計画していた人物の行動推定を前倒しして実施し,実際に生活したときの電力データのみから人物の行動を推定する実験をおこなっていて,それぞのの成果について対外発表もこなっている.さらにスマートタップに関しては,アダプタ型だけでなく,コンセント埋込型,海外仕様(200V)など複数のタイプを開発するとともに,エネルギーの情報化WG内にスマートタップユーザグループを設立し,スマートタップの共通仕様や,データの蓄積フォーマットの共通化,取得したデータの活用方法などについて議論を進めている.また,これらの基礎技術の応用として,Energy On Demand と名付けた新しいホームエネルギーマネジメントシステムを提案し,実証実験用のマンションルームにシステムを構築して,実験を行った.この成果は国際会議SmartGridComm2011で発表するとともに,実際に生活して実証実験を行なっているところである.また,来年度以降の新しい実証実験場所として,京都府がすすめる「京都力結集エコ住宅」にもシステム構築を行なっている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には,電力変動の記述モデルである「Internal based Switching Kalman Fileters」を改良し更に適用家電の範囲を広げると共に,Hybrid Systemの記述モデルおよびその学習アルゴリズムとして汎用化し,他の分野への応用を広げる.また,この技術を利用して複数家電の電力使用量の推定方法の確率や,家電の内部状態推定などの技術を確率させる.さらに,上記モデルを拡張し,複数の変動モデルの相互作用の解析を行い,複数の電源・家電の協調的制御の方法を確率し,家庭内,地域内の複数電源マネージメントへの手法を確率する.人物行動推定に関しては,現在の行動推定から,さらに抽象的な生活パターンの学習技術を確率し,それに基づいて個人個人に適応した節電プランの提案や,無駄な電力の発見,生活見守りシステムの提案を行う.また,上記の基礎技術を適応して,Energy on Demandシステムを複数の分散電源へと拡張するとともに,複数家庭における Energy on Demand システム同士の連携・協調についても検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電力変動パターン学習において,時系列データをリアルタイムで解析し予測するための計算機を購入する.また,生活データの蓄積・解析のための大規模データベースを購入する.さらに,様々な人に生活してもらって,実際の生活データを獲得するための実験協力謝金を使用する予定である.また,新しい実証実験場所である「京都力結集エコ住宅」におけるシステム構築のために,スマートタップ,ホームゲートウェイ,及び,ネットワーク設備を購入する.また,研究成果の発表のため,学会出席のための旅費,参加費,および論文誌への投稿費を支出する予定である.
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Research Products
(8 results)