2011 Fiscal Year Research-status Report
弱視者支援のための知的視覚情報フィルタリングに関する研究
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23700179
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 英昭 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00404096)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 視覚支援 / ウェアラブルシステム / 視認活動 / 把持動作 / 画像拡大 |
Research Abstract |
弱視者が持っている視覚機能を活用して,生活空間での活動を円滑に達成するために,カメラ等を通して得られる視覚情報から活動に有用な情報の抽出を行い,加工された視覚情報や,音,触刺激といった視覚以外の情報等により提示することで,弱視者の円滑な活動を支援するシステムを開発することを目的とし,次の研究を行った.1)ウェアラブルカメラおよびヘッドマウントディスプレイにより,弱視者が視認困難な際に目元の表情で視野の拡大提示を可能とする視認活動支援システムを構築した.表情の認識には,事前に用意したデータの学習を用い,実行時にはウェアラブルカメラにより捉えられた視野画像をリアルタイムに拡大提示できるシステムを試作した.弱視者模擬フィルタを介した視認実験により,本研究で構築した拡大提示システムが弱視者の視認活動において有用であることを示した.2)弱視者は像がぼやけて見えるために,距離感の把握が困難であり,日常生活においてストレスを感じる場面がある.本研究では,物体にQRコードが添付された環境下で,手元に装着したカメラによって,手元から物体までの距離を推定する方式を提案した.距離推定はQRコードの実際の形状情報とカメラの画像免状での形状情報をもとに行われる.実験では,本方式を用いて距離推定が可能なことを示し,使用者への提示方法の検討も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の知的視覚情報フィルタリングの目的は,弱視者の目で見て視野内の事象を理解する視認活動の支援であった.この目的を具体的なシステムとして具現化したのが,目元表情で視野の拡大表示を行う画像拡大インタフェースである.開発した画像拡大インタフェースは,まだ処理をPCに依存しているので完成には至っていないものの,当初の計画では仕組みを有したプロトタイプの実現であったので,研究計画はほぼ完遂したと言える.現在は,可搬性を備えた組み込みシステムとして実現するために開発を行なっており,当初の計画以上の達成目標の実現に踏み出している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した画像拡大インタフェースの可搬性向上を図るために,これを組み込みシステムとして実現する.知的視覚情報フィルタリングの今後の展開として,弱視者が視覚とそれ以外の感覚を併用して認識しながら行動をとる際の支援システムの構築が挙げられる.具体的には,視覚と触覚に依る把持動作や視覚や聴覚,触覚に依る歩行動作の支援システムの開発が挙げられる.現在,これらは基礎的な研究を行っている段階にあり,今後はさらに進めていきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)これまでの研究においても,ウェアラブルカメラやヘッドマウントディスプレイを用いてきたが,最近,より軽量で,性能の向上した新しいものが登場してきている.これらを利用することで,さらに新しい支援システムの構築が可能となると考えており,それらを評価・検討するために,購入することを計画している.2)センサはカメラのみでなく,加速度センサやGPSなどの各種の物理センサを併用すればより効果的な支援が期待でき,評価・検討のために購入する予定である.3)また,今年度は最終年度であり,研究成果を積極的に発信するべく学会発表を計画している.
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