2012 Fiscal Year Research-status Report
大規模社会ネットワークにおける情報伝搬履歴に基づく多重コミュニティ抽出
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23700181
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大原 剛三 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (30294127)
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Keywords | 社会ネットワーク / コミュニティ抽出 / グラフマイニング / ウェブマイニング / 情報工学 |
Research Abstract |
本研究は,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上で展開される大規模社会ネットワークを対象に,そこから部分的に重複し得る複数のコミュニティ(多重コミュニティ)を抽出し,その特徴を分析する技術を確立することを目的としている.具体的には,マイクロブログ上の表層的な利用者間相互参照関係ネットワークから実際に情報が伝わった時系列情報(情報伝搬系列)に基づき特定の興味を共有するコミュニティの一部を表す情報伝搬ネットワークを切り出し,それらを融合することで多重性を考慮しつつ個々のコミュニティを抽出し,コミュニティ内で伝搬した情報の内容に基づき各コミュニティを特徴づける一連の技術の確立を目指す. 本年度は,前年度で検討したタグ情報に基づいた情報伝搬系列手法に加え,タグ情報によらない情報伝搬系列の抽出法の検討を進めた.具体的には,前年度と同様にTwitterを対象とし,各投稿記事のコンテンツから抽出した特徴語に基づき記事を分類し,相互参照関係ネットワークにおけるノードの隣接関係を考慮し,時系列的に連続する同一トピックに関する隣接ノードでの投稿の連鎖を情報伝搬系列として抽出する手法を検討した.本手法と前年度の手法を1つのシステムにまとめ,実際に収集した約94,000ユーザによる利用者間相互参照関係ネットワークを対象に実験したところ,コンテンツに基づいて抽出した情報伝搬系列は比較的短いものが多くなる結果となった.これは,投稿記事のコンテンツ特定精度が十分ではなかったことと,公開されているAPIでは実際の投稿の一部しか収集できないという制限に起因するためと思われる.また,本年度はタグ情報に基づいて抽出された情報伝搬系列を対象とした変化点検出にも取り組み,情報伝搬過程の特徴分析を行った.これらを通して得られた知見は,システムの洗練と最終的なコミュニティの特徴付けに重要な役割を果たすものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で予定していた情報コンテンツを用いた情報伝搬系列抽出法は,抽出精度の改善は今後必要であるものの,基本的な枠組みは実現できており,前年度のプロトタイプシステムとの統合も進んでいることから,ほぼ予定通りに進行していると判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度取り組んだ情報コンテンツを用いた情報伝搬系列抽出法に関しては,コンテンツ(トピック)特定精度を改善する必要がある.前年度は基本的な特徴語抽出手法を用いていたが,次年度はより洗練された既存の確率モデルなどを導入することにより,早期に精度改善に取り組む.また,当初予定していたよりも国際会議への参加回数が少なくなったことにより生じた研究費をアルバイト謝金として活用することで,膨大な投稿記事の整理等の補助作業は研究室学生等の協力を仰ぎ,研究代表者はより本質的な課題解決に専念できる体制とし,当初の計画通りに提案システムの開発を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度,次年度使用額として約90万円が残ることとなったが,これは当初予定していた国際会議に残念ながら投稿論文が採択されなかったため国外旅費が未使用になったことと,アルバイト従事者を確保できなかったために謝金も未使用となったためである.今年度は,これらの金額を有効活用し,最終年度の研究を円滑に進めるために, 25万円程の謝金により学生アルバイトを動員するとともに,当初使用計画では想定していなかったがアルバイト従事者が占有利用できるデータ整理用パソコンを複数台購入するため,物品費として75万円ほどの支出を計画している.なお,物品費ではその他に,当初の想定以上にデータ量が多くなっているため,データ保存用のハードディスク装置も追加で購入する予定である.成果発表・資料収集のための国内・国外旅費,および会議参加費に関しては 62万円程度を予定している.
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