2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700189
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川本 一彦 千葉大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (30345376)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | コンピュータビジョン / 機械学習 / 人物追跡 |
Research Abstract |
本研究では,空間での人物移動を確率的にモデル化し,データ同化と呼ばれる計算枠組みを用いて,そのモデルに含まれるパラメータを実際の動画像から推定することを目的としている.主要な実績は次のとおりである.・確率的セルオートマトンモデルとSocial Forceモデルに基づいて人物移動をモデル化し,それをコンピュータ上でシミュレーションできるように実装している.・歩行モデルに含まれるパラメータを実際のデータから推定するために,最尤推定法と逐次ベイズ推定法の2つを導入した.前者は,観測値がすべて与えられたもとで推定値を求めるオフライン型の手法であり,後者は,推定すべきパラメータを状態ベクトルの中に組み込んだ自己組織型の状態空間モデルに基づいてオンライン型である.・評価実験では,位置が未知の出口が歩行者に与える相互作用を対象に,人工的に作成した数値データを用いて検証した.実験結果では,精度の観点からは,最尤推定法のほうが逐次ベイズ推定が上回る結果を得た.一方,計算時間の観点からは,後者のほうが数十倍高速である.これらのことから,時間変化しない一定パラメータについては,オフラインで最尤推定しておき,動的に変換するものに対しては,逐次ベイズ推定で計算するほうがよいと結論付けた.・今後,複数のモデルを切り替えながらパラメータを推定する方法を導入するために,その基礎として,モデル切り替え型の状態空間モデルに基づくアルゴリズムを開発し,数値データを用いて,従来手法より性能がすぐれていることを示した.さらに,同様のアルゴリズムを手の形状推定にも適用し,応用展開を図っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度では,人物移動のモデルとして,確率的セルオートマトンモデルとSocial Forceモデルの2つをコンピュータ上に実装している.さらに,データ同化の枠組みに基づく統計的なパラメータ推定法として,一般状態空間モデルのよるモデル表現とそのための最尤推定法と逐次ベイズ推定法も開発している.これらの成果は,当初の研究実施計画通りである.ただし,確率的セルオートマトンモデルに基づくプログラム開発では,動的に変化する歩行者間の相互作用については,単純化したものに実装が留まっている.さらに詳細化したモデルを構築する必要があるが,根本的な設計変更をともなうものではなく,開発済のソースコードをもとに改良を図ることができ,次年度の前半期には実装できる見込みである.また,データ同化のための基礎アルゴリズムとして,モデル切換え型状態空間モデルを新たに提案し,数値データによる評価も実施している.以上より,当初計画に対して,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして,平成24年度では,確率的セルオートマトンとSocial Forceに基づく数値モデルと画像計測を融合するデータ同化アルゴリズムを開発する.動画像から人の位置を検出する手法については,すでに実装済であり,実際に撮影した動画像から人位置を取得する.とくに,応用展開の1つとして想定している大学図書館内での人物行動解析のために,大学図書館内で撮影したデータも用いる.さらに,インターネット上に公開されているベンチマークデータも用いる.この空間における人位置の座標値の時系列データは,数値データにすぎないため,前年度に開発した数値モデルへ入力は容易に可能である.実際のデータを用いて評価することにより,数値モデル自体の改良につなげる.また,人位置だけでなく,複雑な手形状の推定などにも応用展開を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度では,ハイエンドのデスクトップコンピュータを導入する.当初,平成23年度に導入予定であったが,その代わりにデータ収集制御用のためのラップトップパソコンを平成23年度に優先的に導入した.当初計画では,ラップトップパソコンは平成24年度の導入であった.この変更は,本研究の撮影シーンの1つとして想定している大学図書館内の撮影が平成23年度に許可されたため,その間にデータを取得するための措置であった.さらに,コンピュータの性能向上と価格下落の製品動向も鑑み,デスクトップコンピュータの導入は平成24年度の実施することにした.以上の変更により,「次年度使用額」が生じた.また,次年度は最終年度であるため,学会発表を積極的に実施する予定である
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[Presentation] 図書館センシング2012
Author(s)
川本一彦, 風間光, 堀内麻由, 岡本一志
Organizer
統計数理研究所共同利用研究成果報告会
Place of Presentation
統計数理研究所
Year and Date
2012年2月14日