2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23700198
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
立蔵 洋介 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30372519)
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Keywords | 音場制御 / 室内音響伝達関数 / 逆フィルタ制御 / 個別音像生成 / スピーカアレー / ユーザインタフェース |
Research Abstract |
本年度においては,逆フィルタ処理とスピーカアレー出力による波面合成を統合することにより,1人用システムを複数個並べることによって個別音像生成を複数ユーザ用に発展・拡張させることに関する検討を行った.まず,これまではユーザ間のみに配置されていた音圧最小化の制御点を,ユーザの左右両側に配置することによって,これまでは「音の壁」からそれる方向に形成されていた音のビームの方向をコントロールすることを試みた.その結果,音のビームはユーザ正面方向に形成され,左右の音圧バランスは良好になった.しかしながら,実質的に再生される音圧レベルが低下することもわかった. また,残響を付加した室内を想定した数値計算を行ったところ,中帯域以上の制御精度が不十分であった.これらのことから,提案手法の現時点の性能と問題点,およびその改善のための手がかりが得られた. 次に,システムの簡易セットアップを実現するため,室内インパルス応答の同時測定に関する改良を行った.これまでに,一般的な楽音とセミブラインド音源分離を用いたインパルス応答の多チャネル同時測定法を提案したが,複数の楽音を同時に再生するために測定時の快適さが損なわれることが問題であった.これを解決するため,各スピーカから再生される音は,1つの音楽を構成する楽器パート音とすることにより,スピーカから再生される音の総和が1つのアンサンブル音楽となるよう,参照信号の調整を行った.このとき,楽器パート音はその構成によって再生される周波数帯域が大きく異なることから,スピーカごとの再生信号を一定時間ごとにローテーションさせることにより,この問題の解決を図った.実環境データを用いた数値計算の結果,一般的な測定方法に比べて精度がほとんど損なわれることなく,インパルス応答が測定可能であることがわかった.
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