2011 Fiscal Year Research-status Report
自由な連続音声からの単語音素系列と指示対象カテゴリの学習
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23700200
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70508415)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 音声情報処理 / 言語獲得 / シンボルグラウンディング |
Research Abstract |
ロボットが人と対話するためには,言葉と実世界の事物・事象の対応関係をロボットが理解できなければならない.申請者の先行研究では,発話と指示対象(物や場所など)の対応関係を,音響,文法,意味を統合した確率モデルで表現し,それを統計的モデル選択に基づいて最適化することで,単語の音素系列と意味を学習する手法を提案した.この研究には次に示す3つの課題が残っていた.(1)指示対象が事前にカテゴリ化されていることを仮定している.(2) 色や形といった物体の属性を表す単語は学習できず,物体そのものを表す単語のみ学習可能である.(3)実験はシミュレーションで行っており,実環境での評価は行っていない.語彙学習そのものが目的化されており,センサ情報が語彙学習のために恣意的に設計されている.本研究では先の手法を基に,(a)連続量として与えられるセンサ情報を適切にカテゴリ化する機能と,(b)単語の対象となる属性を判定する機能を開発・付加すること,そして(c)人とロボットの協調作業の場を構築し提案手法の有効性を評価することを目的とする.本年度の成果として,(a)については,従来法で用いた3つの確率モデルのうち,意味のモデルを連続確率分布に拡張することによりカテゴリ化の機能を実現した.また(b)については,単語の情報量を元に対象属性を判定する機能を開発した.さらに(c)については場所の名前を学習する自動巡回ロボットを開発した.ロボットは建物内現在位置と発話の対応関係から場所名を学習した後,学習した場所名を含む発話を認識し,巡回経路を設定する.また,卓上ロボットを用いた実験環境の設計を行うと共に,物体認識に使用する3次元形状計測システム(プロジェクタとカメラを用いたアクティブステレオ方式)の開発を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,(a)連続量として与えられるセンサ情報を適切にカテゴリ化する機能と,(b)単語の対象となる属性を判定する機能(例えば,色か形かを判定する)を開発・付加すること,そして(c)人とロボットの協調作業の場を構築し提案手法の有効性を評価することである.本年度は(a)と(b)の開発とシミュレーション上での評価実験と,(c)のための実験環境の構築が目標であった.(a)および(b)に関しては,アルゴリズムの提案を行い,評価実験を実施した.(c)に関しては,卓上自走ロボットを用いた実験環境の設計を行い,ロボット部品の発注を行った.また,自走式ではなく,首振り機構のみを持つ卓上のコミュニケーションロボットを開発した.さらに,建物内を自動巡回するロボットを用いた語彙学習実験と,学習した語彙を用いた巡回経路指定対話の実験を実施した.当初予定していた卓上自走ロボットを用いた実験環境の完成にまでは至らなかったが,卓上の自走ロボットだけでなく,卓上首振りロボットや,自動巡回ロボットなど,複数の実験プラットフォームが整いつつある.これらのことから,達成度は概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,卓上自走ロボットを用いた実験環境の完成させる.このタスクでは,テーブルの上に散らばった物体を,人とロボットが指定の位置に動かし片づけることが目的である.人とロボットが物を動かしたり,「赤いの取って」や「青い箱を取って」等と発話しながら,片付けタスクを協調して行う.このような命令と教示が混在したリアルなインタラクションを用いた語彙学習の実現を目指す.テーブルの上方にはカメラが取り付けられており,カメラで取得した画像からロボットは物体の3次元的な配置を把握する.当初は,物体認識用のカメラシステムとしてTOFカメラを用いることを考えていたが,プロジェクタとカメラを用いたアクティブステレオ方式の3次元計測装置で代用する.また,H23年度には直径30cmほどの台車ロボットを2機購入しており,これらを用いて自動巡回ロボットの拡充を図ると共に,H23年度に開発したカテゴリ化可能な語彙学習手法や,属性判定可能な語彙学習手法に対し幼児のバイアスを適用して手法を改良する.また,異なるプラットフォームで実験を行うことで,共通に動作する汎用的な語彙学習アルゴリズム開発のための知見を得る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に必要な部材の多くはH23年度の予算で購入済みである.H24年度の経費では,卓上ロボットの補修用として,マイコン,アクチュエータ,赤外線センサ,スピーカー,フレームなどのロボット構成部品を購入する.また,自動巡回ロボット用の追加部品(センサ等)を購入する.関連研究の調査およびロボット開発のためにロボット関連書籍も購入する.自走ロボットの開発や実験を効率的に進めるため,作業補助として大学院生1名を雇用する.その謝金としての研究補助費用が必要となる.そして国内外の学会(人工知能学会やロボット学会,日本赤ちゃん学会等)において関連研究を調査するための国内旅費及び外国旅費の費用,研究成果を公開するため研究成果投稿料,印刷費が発生する.
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Research Products
(1 results)