2011 Fiscal Year Research-status Report
焦点ぼけ構造に基づく多次元映像情報の高能率圧縮表現に関する研究
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23700224
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
児玉 和也 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (80321579)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 映像メディア / 画像符号化 / 3次元画像 |
Research Abstract |
多次元の映像メディアの実用的発展には、光線空間や多眼画像の高能率な圧縮が必須である。 本年度は主として、多次元映像の圧縮という目的に対する本研究課題の基盤となる、焦点ぼけ画像群の効率の良い圧縮方式の検討を詳細に行った。研究代表者の研究成果から、焦点ぼけ画像群から多眼画像や光線空間がほぼ復元できることは既知であるので、この圧縮方式の性能の向上が、光線空間の高能率圧縮には必須である。具体的にはまず、大容量高速記憶装置を用いながら、焦点ぼけ画像群に対し、既存の静止画、動画の圧縮方式を適用しその特性を検証した後、さらに3次元における周波数成分の集中に着目したより効率の良い新しい圧縮方式の検討にも取り組んだ。研究協力者とともに上記のような特性の検証を行うにあたっては、各画像を個別にJPEGで圧縮したり、画像群を動画像とみなしてMPEG等を使って圧縮した。それらから復元された画像群を解析し、再構成した光線空間の品質を維持するための圧縮時の条件等を詳細に検討した。 以上によりまず、光線空間や多眼画像といった4次元の映像情報を、そこから合成された焦点ぼけ画像群を用いることで、3次元の対象シーンの構造を反映しながら本質的に圧縮表現する枠組の有効性が確認された。実際に、圧縮された焦点ぼけ画像群からでも、もともとの多次元映像情報がオクルージョン領域等を除けば良好に復元できることが明らかとなり、残差の圧縮の組み込みにより提案する枠組をもとにさらに柔軟で高能率な圧縮を実現する手法の検討が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多次元映像に対し、3次元の対象シーンの構造を反映した本質的かつ柔軟で高能率な圧縮を導入することに大きな意義があり、実際に、4次元の光線空間から合成された3次元の焦点ぼけ画像群を用いれば、そのような圧縮の枠組が構築可能であることが示されたため。 具体的には、上記のとおり合成された焦点ぼけ画像群に対し、ブロック分割、DCT、ジグザグスキャン、ハフマン符号化という、通常の2次元画像に対する標準的な圧縮方式であるJPEGでも採用されている基礎的な圧縮技術を3次元に拡張して適用し、もともとの4次元の光線空間の、本枠組における圧縮品質を検証することが実現できた。 この結果、焦点ぼけ画像群という対象シーンの構造をきわめて効率的に表現する3次元情報を介することで、4次元の光線空間に対する本質的で高能率な圧縮方式が構築可能であると明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度の成果をもとに、焦点ぼけ画像群からの光線空間再構成における残差の処理も含め、焦点ぼけ構造を介した光線空間の最適な圧縮手法を検討する。 具体的にはまず、焦点ぼけ画像群を3次元情報とみなしたとき周波数成分が特定の領域に集中するという本質的な性質に着目し、3D-DCT等を活用した効率的な圧縮手法をより洗練する。この成果をもとに、焦点ぼけ構造を介した光線空間の圧縮表現手法を示し、あわせて、焦点ぼけ画像群からの光線空間の再構成は近似的なものであることに注意し、その残差信号についてもMPEG等の知見から適切な圧縮手法を検討する。 その後、以上を組み合わせることで、研究課題の中心である焦点ぼけ構造を介した光線空間の高能率な圧縮手法を示す。さらにこれを応用し、例えば、水平方向に配置した多眼画像に対しても、同様の圧縮を実現する手法の検討に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費については、消耗品等の価格変動などに応じ、小額が生じている。 当該研究費は次年度に請求する研究費と合わせ、カメラ位置制御装置等の導入にあてる。これを用いて撮影された実画像による実証的検討に取り組み、本研究で提案する手法の基本的性能をできる限り明確にする。 この装置等を活用すれば、理想的に標本化された光線空間のみならず水平方向に配置した多眼画像等にも適用できるような提案手法の柔軟な一般化も検討できる。
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