2011 Fiscal Year Research-status Report
人間に近い器用さと知覚能力により,能動的相互作用可能な人間協調型ロボットの開発
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23700238
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 知識ロボット |
Research Abstract |
当該年度は,音質向上のための新型空気圧回路およびインタラクションに必要な視覚機構を有する WAS-2RIII (WAseda SaxophonistNo.2 Refined III)を開発した.新型空気圧回路においては,流量のリップルの減少をさせる新型エアポンプを開発し,さらに回路モデルから10[ml]のリザーバを設置した.その結果,流量の振幅変調の変調度は目標値とする0.1 以下まで変調度を減少させ,音質の向上に成功した.視覚機構についてはピッチ軸,ヨー軸の全2 自由度を有し,人間と同等のピッチ軸方向128[deg],ヨー軸方向202[deg]の視野角を有し,最高角速度622[deg/s]を実現した演奏実験では,楽曲「スカボロー・フェア」などの演奏に成功した.また,共演者動作に基づいた,インタクションシステムの構築を行った.一方,検知方法としては,開発された視覚機構を用い,パーティクルフィルタより楽器のトラッキングを行った.また,IMU(Inertial Measurement Unit) を併用することによって,テンポの速い曲における動作も検知可能となった.検知した動作より,ロボットの演奏方法を決定するパフォーマンスルールとしては,演奏開始時におけるタイミングの同期・演奏中における音圧表現の同期の2点に取り組んだ.演奏開始時においては,IMU を用い,DP(Dynamic Programming)マッチングより動作認識を行い,呼吸動作を検知する.これよりタイミングの同期を行い,プロ奏者―ロボット間で,44[msec]の精度で同期可能となっている.また,演奏中においては,事前に重回帰分析より制作したルールに従い,動作から音圧指令値を生成する.中級者が演奏した楽曲より,指令値と,共演者の演奏音圧間に,正の相関があることから,その有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
WAS-2RII (WAseda SaxophonistNo.2 Refined II)の新機構設計・製作に関してまして、新型空気圧回路およびインタラクションに必要な視覚機構を有する WAS-2RIII (WAseda SaxophonistNo.2 Refined III)を開発した.また,WAS-2RIIの新たな制御システムに関してまして,IMU(Inertial Measurement Unit)を併用することによって,テンポの速い曲における動作も検知可能となった.検知した動作より,ロボットの演奏方法を決定するパフォーマンスルールとしては,演奏開始時におけるタイミングの同期・演奏中における音圧表現の同期の2点に取り組んだ.また,評価関数との関係で,演奏中においては,事前に重回帰分析より制作したルールに従い,動作から音圧指令値を生成する.中級者が演奏した楽曲より,指令値と,共演者の演奏音圧間に,正の相関があることから,その有効性を確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
従来のロボットの演奏は音圧に関し,プロのサキソフォニストに匹敵する音圧範囲を得ることが出来ていた.しかし,音質に関してはまだまだプロには及ばない演奏レベルであるといえる.本年度は口腔内の舌部の改良を行い,更なる音質の向上に向けて取り組み,プロのサキソフォニストの演奏音質を目指す.また,人とのセッション共演に関し,従来は共演者の動作を認識し,インタラクションを行っていたが,ロボット自身からの働きかけがなかった.今後の研究では演奏開始時の同期のタイミングの向上を目指し,相互の働きかけが可能なインタラクションシステムの実装を目指す.人間は演奏開始前,ある一定の呼吸動作を行い,呼吸動作に伴うサキソフォンの垂直方向の動きを用い共演者同士確認を行い,演奏開始の同期を計っている.現状のインタラクションシステムにおいては演奏開始時,共演者の演奏開始タイミングを判断するにはサキソフォンの垂直方向の動きを取得しているのみである.今後の研究においてはロボットに腕を実装することで従来にはなかった演奏中におけるサキソフォンの垂直方向の動きを実現し,演奏開始時のさらなる同期タイミング向上を実現する.また,現状のインタラクションシステムは曲中のフレーズにおいては同期を行うことができない.今後の研究においては以下の方法により,曲中のフレーズに関して音圧と,テンポに関して同期を行うことを目標とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収支状況報告書の次年度使用額の合計欄が210円となり、翌年度に請求する研究費(物品費)を合わせることとする.翌年度には,物品費(90万円)と旅費(30万円)および人件費(0円)・謝金(0円)の使用計画されている.
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