2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700239
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松山 洋一 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (90584467)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 多人数会話 / 参与役割推定 / 会話活性化戦略 / 高齢者支援 |
Research Abstract |
本研究課題では、人同士で行われている複数人会話にロボットを参加させ、かつその会話を支援したり活性化したりすることで新たな価値を生み出すロボットシステムの開発を行っている。特に、高齢者支援タスクとして通所介護施設で実際に行われている複数人参加型のクイズゲームにロボットを回答者として介在させ、より場を活性化させることを試みる。平成23年度は当初の計画に従って、主に以下の3つの課題について取り組んだ。(1)音声情報と画像情報の統合による複数人会話参加機能(参与構造の役割推定):複数台(約4台)の赤外線深度センサを用いて会話参加者の位置および身体方向を推定するモジュールを開発した。また音声情報(音声認識、発話区間検出等)も同時に用いることで、会話参加者の現在の参与役割(話し手、受け手、傍参与者、等)を推定することが可能になった。(2)発話内容選択方法の検討および発話データ作成支援ツールの開発:会話を活性化する上ではロボットの発話内容を大量に準備する必要がある。このためのデータベースおよび作成支援ツールをWebアプリケーションとして開発した。(3)実験室実験で評価:上記のものを実装した上で、実験室にて2回、合計約60名の被験者を対象として活性効果について実験を行った。今後、この結果をもとにロボットの発話行動に関する戦略について検討を進めてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した、平成23年度の課題に関して、それぞれの達成度を以下に述べる。(1)音声情報と画像情報の統合による複数人会話参加機能(参与構造の役割推定):天井に配置した複数台(約4台)の赤外線深度センサを用いた会話参加者の位置および身体方向を推定するモジュール、および音声情報(音声認識、発話区間検出等)も同時に用いることで、会話参加者の現在の参与役割(話し手、受け手、傍参与者、等)を推定することが可能になった。これは当初の予通りである。(2)発話内容選択方法の検討および発話データ作成支援ツールの開発:会話ロボットの発話データベースおよび作成支援ツールをWebアプリケーションとして開発した。これは当初の予定通りである。(3)実験室実験で評価:上記のものを実装した上で、実験室にて2回、合計約60名の被験者を対象として活性効果について実験を行った。この際のセンサデータおよびシステムログをすべて記録し、分析を行なっている。おおむね当初の予定どおり進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、まず前年度に達成した課題1)と2)についてさらに進展させる。(1)音声情報と画像情報の統合による複数人会話参加機能(参与構造の役割推定):赤外線深度センサおよびロボット搭載カメラを用いて会話参加者の顔向きを取得するモジュールを追加開発する。参加者の位置、身体方向、顔向き、音声認識結果、発話区間情報を用いて、機械学習的手法により参与役割をより正確に推定できる手法を開発する。(2)発話内容選択方法の検討および発話データ作成支援ツールの開発:現在は事前に人手でデータを準備しているが、インターネットの情報から発話データを自動的に収集・生成するシステムを開発する。また、大量に準備した発話データから状況に応じた適切な発話を選択する手法を検討する。上記のように開発したシステムを用いて通所介護施設で複数回に渡る実験を行い、ロボットの活性化機能の効果を確認し、また長期的に見てどのように活性効果が失活していくのかについて観察し分析する。施設では条件を詳細に制御した実験は困難であるため、社会心理学的な観察を通した評価手法を用いる。具体的には、ケアスタッフへのアンケートおよびインタビュー、会話風景のビデオ収録(被験者の様子、部屋全体の様子)、会話ログの記録等の情報をから状況を可能な限り正確に記述し総合的に分析する。また、同一のシステム、評価方法を用いて、一定期間(1~数週間)の実験を行い、活性度の失活を起こす因子の分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・評価実験記録用カメラ:50万円・学会渡航参加費等:40万円・ロボット運送費等:10万円・被験者謝礼等:10万円
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