2012 Fiscal Year Annual Research Report
重複障害者のコミュニケーションにおける環境知覚とメタ認知的特性の分析
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23700254
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
南部 美砂子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (10404807)
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Keywords | 重複障害者 / コミュニケーション / メタ認知 |
Research Abstract |
平成24年度は,実践的な盲ろう者のコミュニケーション支援につながる知見を得ることを目標として,日常的な場面・文脈におけるコミュニケーションの知覚的・認知的特性,およびメタ認知的特性について検討を行った. (1)通訳介助活動における伝達情報の編集:盲ろう者支援機関の協力のもと,郵送法による質問紙調査を実施した.通訳介助者がふだん現場でどのような情報の編集を行っているのか,またどのような情報が伝達されないのかなど,介助者も含めたコミュニケーション支援のためのニーズを明らかにした. (2)日常生活音の注意と理解:健常者を対象として,日誌法によるフィールド調査を実施し,生活音の知覚と認知の特性について分析を行った.アラームや通知音のような明確な意味を内包する音だけでなく,周辺的な生活音も,日々の活動に密接に関係することを明らかにした. (3)リアルタイムドキュメンテーション(RTD)における感覚・文脈情報の編集:出来事や経験を記録・共有するための手段として活用されているRTDを題材として,現場での情報の編集・要約に焦点を当てた分析を行った.RTDの熟達者は,記号や図,絵などを多用しながら図解的に表現しており,また感覚情報や抽象度・主観性の高い内容については,編集をせずにそのまま記録していた.今後はさらに,盲ろう者の通訳介助者における情報編集との比較を行う予定である. (4)戦後盲ろう児教育に関する資料のデジタルアーカイブ構築:山梨県立盲学校に保管されている「戦後盲ろう児教育」に関する資料の一部(日誌)について,現物の電子化,およびコンテンツの抽出とデータベース化を遂行中である.さらに,当事者との面会や,関係者からの聞き取り調査にもとづき,盲ろう者のコミュニケーション方略の形成過程について分析を行っている.
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