2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23700264
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田向 権 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90432955)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 人工知能 / ソフトコンピューティング / 知能ロボティクス / 電子デバイス・機器 / 脳型計算機 / FPGA |
Research Abstract |
1. 動的部分再構成可能半導体を用いた脳型再構成デバイス実験環境の整備再構成可能半導体Field Programmable Gate Array(FPGA)を用いた脳型再構成デバイスの実験環境を整備した.従来のFPGAは利用時に全体を書き換える必要があったが,最新のFPGAは動作中に半導体内の一部を数msの時間で書き換える"動的部分再構成"が可能であり,いくつかのデバイスが現在市中で入手可能な状態にある.この機能は,脳型再構成デバイスを実現するための重要な技術なので,当該技術の導入と実験環境の整備は重要である.しかしながら,本科学研究費助成事業で補助される金額では機能的に満足な最新のデバイスを入手することは困難であった.この解決策として,複数の古いFPGAボードを3次元構造へ集積(例えば8枚のFPGAボードを使用して2×2×2の3次元立体構造とする)する方式を採用し,各FPGAボードを部分再構成領域と考えて最新FPGAの代替とすることを提案した.現時点では簡単な数値演算回路を複数のFPGAボードへ書き込んで並列演算できる環境になっている.また,ネットワークロボティクスに重要である通信の仕組について,FPGA上でTCP/IPを直接処理する仮想回路の開発も行い実用レベルにあることを確認している.今後もこれらの開発環境の整備を進めていく予定である.2.脳型計算機のための一般素子ライブラリの整備自己組織化マップ(Self-Organizing Map; SOM)をベースとした各種学習アルゴリズムに関して,演算要素の抽出に関する基礎検討を行った.ここでは特に,一般素子をFPGA上へ分散して配置した際の通信に関する諸問題の解決が重要であることが明らかになった.引き続き,配置と通信の問題に関して,学習機能と交えた検討が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動的部分再構成が可能な最新FPGAを搭載したFPGAボードの購入は,機能,価格および本科学研究費助成事業から助成される金額を考慮したところ,妥当ではないと判断した.これに代わり,複数のFPGAを集積する方法を採用した.これは仮想的ながら動的部分再構成を実現するものであり,本研究の基礎検討には充分である.その上,複数FPGAによるクラスタ型の脳型計算機へアプローチする足がかりとしても極めて有効なため,単なる代替案を超えた成果を得られつつある.将来的に移動型の小型ロボットへ搭載する際には低価格化が進んだワンチップのFPGAを用い,サーバにはクラスタFPGAを採用するといった形式が可能になる.また,ロボットとサーバ間の通信で重要となるTCP/IPの仮想回路化はほぼ達成されており,現時点で動画像処理と組み合わせたデモシステムを公開可能な状態にある.これらを自律移動ロボットの脳機能を実現する基本パーツとして組み合わせていく予定である.SOMをベースとした学習機械に関しては,成長型のものを中心にアルゴリズムの特徴を精査している段階である.アルゴリズムのハードウェア化に関する検討は少々遅れが見られる.上記を勘案し,アルゴリズムの検討に一部遅れはあるが,最も工数が掛かるハードウェア環境の整備が順調なため,本研究課題は概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
1.ワンパス・成長型SOMベース学習機械の開発"全方位カメラから得られるフルカラー動画像と赤外線センサアレイから得られる障害物までの距離をセンサ入力として取り扱い,環境地図と視界内に映る物体データベースを構築・認識する"という問題設定の下で,ワンパス・成長型SOMベースの学習機械をソフトウェア上で開発する.Tokunagaらが開発したSelf Evolving Modular Network について演算要素を分析し,脳型再構成デバイス上で動作する脳型計算機のプロトタイプとして開発を進めることを検討している.2.脳型再構成デバイスを用いた成長型学習機械実現法の確立簡単な人工データを学習するという問題設定の下で,脳型再構成デバイスを用いた成長型学習機械実現法を確立する.まず,脳型再構成デバイス内の再構成領域に十分な空きがある状況下での実現法を検討する.ここでは,動作中の一般素子と新たに再構成された一般素子間のデバイス内接続,ソフトウェアへの接続,生成削除を繰り返す一般素子へのアドレッシング方式といった,動的部分再構成デバイスの制御法に関する課題を解決する.3.脳型再構成デバイス内の一般素子間通信法の確立脳型再構成デバイスに一般素子を多数生成する場合,素子間通信が性能に及ぼす影響は大きい.本申請計画において最も重要かつ解決困難なテーマである.限定したデータバス構造を用いれば最適化は容易だが,様々な学習機械に対応する汎用性を得るには,様々な形態の接続を許容すべきである.ここで,3次元集積のFPGAを用いることで,様々な検討が可能になると考えている.上記1~3の研究を円滑に推進するために,研究協力者として,本学大学院生のJiang Li氏,およびTCP/IPの仮想回路に関する共同開発者・共同論文執筆者であるNadav Bergstein氏を追加し,連携して研究を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
低価格化が進んだ廉価版の最新FPGAを搭載したFPGAボードを購入し評価するために,本年度から繰越分の予算と次年度の物品費を併せて使用する.また,評価に用いるコンピュータおよび周辺パーツを併せて購入する.代表者および研究協力者が査読論文誌や国際学会へ論文を投稿するために旅費やその他の費用を使用する.実験の補助を行ってくれる学生へ謝金を支出する.
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Research Products
(11 results)